私的医業経営論~スタッフにも十分なおもてなしを~
経営論の最後に。
今回も写真と内容は関係ありません。
題名は「未来のリーダー、円月島にかかる夕陽を背に!」
開業3年を振り返って、という内容で、経営者として自分が何を想い、何をして来たのかを書き綴って来ました。今後どのような道を歩んで行くのか全く分かりませんが、振り返る事によって、歩んで来た道がまっすぐ目標に向っているのか、曲がりくねった道を迷いながらも目標に向っているのか、もしくは全く違う方向に向っているのか、が理解できたような気がします。
経営についての最後はやはり、自分を支えてくれるスタッフの環境づくりについてです。経営理念・哲学がいくら立派なものでも、僕には尾崎豊のような「俺について来るものはついてこい」といったカリスマ性は全くありません。納得出来る給料を支払わなければ、きっと「口うるさい神経質な変わり者」呼ばわりされていたことでしょう。したがって、院長とスタッフという上下関係ではなくて、一医師とスタッフという対等の関係を構築していきたい、と考えました。
仕事に責任を持って取り組んでもらうために、スタッフは常勤のみとしました。常勤であるからには、雇用保険はもちろん、健康保険・年金等社会保障を一般企業と同様にしています。至極当たり前のことだと思うでしょうが、何人かの方を雇用してみてびっくりしました。パートとはいえ週20時間以上も働いているのに雇用保険さえかけてもらっていなかったり、常勤なのに国民健康保険に加入していたり。労働者側が無知なのか、経営者側が自分の儲けを増やすために意図的にしているのか。例え前者であったとしても、ちゃんと説明して経営者としてのモラルを果たさなければなりません。
悩ましいのは給与です。仕事に対して生きがい・誇りを持って取り組んでもらうために、当院では賞与変動制にしました。1年目の給与は、基本給をハローワークや他院を参考にして周辺の医院とほぼ同等にし、基本賞与を年3.5ヶ月にすることによって総支払い金額を周辺の医院より若干高い目に設定しました。たくさんの患者さんが来て忙しくなれば賞与を多く配分するシステムにしたことで、忙しくても不平不満を言うスタッフは今のところいません。おかげ様で、1年目3.5ヶ月だった年間賞与は昨年5.2ヶ月になりました。その他にも月々の退職金の積み立ても行っています。以上のような環境を整えることによって逆に、支払いに対する労働対価をスタッフに求めることが出来るので、「スタッフに嫌われたらどうしよう」といった遠慮、「辞められたらどうしよう」といった不安は全くありません。社会保障や給与以外にも、定期的に「おいしいものを食べる会」を定期的に開いて、風通しのよい職場になるよう努力しています。
最近、改めて理解したことがあります。人に対してやさしく、思いやりの気持ちを持って接するためには、その人自身に心の余裕がないとできないこと、そのためにはお金がある程度必要なことを。同業異業関わらず、環境が満たされている職場かどうかを判断するのは簡単なことです、スタッフの対応を見れば一目瞭然です。いくら美味しいと評判のお店でも、スタッフの対応に心がこもっていなければそのお店には足が向きません。いくらカットの上手な美容師さんでも、お店の雰囲気がぎくしゃくしていれば居心地が悪く落ち着きません。
当院では、スタッフに経営者なりのおもてなしをすることによって、スタッフは一所懸命に働き、かつ患者さんにはやさしく接してくれているようです。患者さんアンケートが如実にそれを物語ってくれています。スタッフ、患者さん、ひいては自分が満足出来る環境、すなわち「all win」の環境をこの3年間で整えられたような気がします(自分だけそう思っているだけかもしれませんが)。