恥も外聞も・・・、(あるヨウザーの独り言)
春の装い
さすがにこれを上下で着るには勇気がいります。
例年なら4月第1週目の週末に行う衣替えを、今年は3月の最終の週末に行った。僕が唯一すると言っても過言ではない家の手伝い、一番面倒で手間がかかる丸1日がかりの大仕事である。東北関東地方の方達の苦しみは分かろうとしているつもりだが、それでこちらまでめげていてはだめだ、と気分一新するつもりで早めた次第である。
この春夏のヨウジヤマモトは、パリコレを再開したシーズンであった。ずっとパリコレで闘い続けてきたデザイナーである、やはりコレクションをするのとしないのでは気合いの入れ方が違う。購入する方も、昨年の展示会で撮られた写真を見るよりも、今年のパリコレ写真を見た方が購買意欲が2倍、いや5倍以上は違ったような気がした。
今年の春夏は「ひげ男爵」期と呼べばいいのだろうか、バロック調のデザインが目立った。僕は、ゴブラン織りの柄が一面に配された上下、ジャケットとパンツを購入した。おそらく、初めて見た人から「絨毯を着ているのですか。」「チンドン屋さんですか。」と声をかけられるのは間違いない。さすがの僕も上下で着る勇気はないので、ばらして着ようと思っている。
特異な風貌に奇抜な服装、街中では相当目立つらしい。自分は目立つつもりは全くないが、◯◯で食事をしていたよねとか、◯◯で買い物をしていたでしょう、と後日声をかけられる事が多い。自分では黒を主体の地味な服と思っていても、服自体の持つパワーが凄いのだろう、自分の想像以上に存在感があるようである。
だから、この狭い町で生きて行くには、自分の中であるひとつの決めごとをしている。妻以外の女性と二人きりで歩かない、食事をしない、である。広いようで狭い町である、女性と二人のところを見られたら、どんな噂を立てられるか分からない。医者ならなおさらである。「◯◯さん、女性と二人で食事していた。」という町の話を何度聞いた事か。しかも、それに尾ひれはひれがついておもしろおかしく、酒のつまみにして語られる。
以前ある方から、素直に率直に嫌みではなく「そんな格好(ヨウジヤマモトを着て)をして恥ずかしくないですか。」と聞かれたことがあった。「服も含めてこれが僕なんです。」と誇りを持って答えた。自分にとっての制服であり自分の一番落ち着ける服なので、逆に「ユニクロで恥ずかしくないですか。」と内心思った。ただ少し、ヨウジを着ていて変人扱いされるだけである、それ以上の話は展開していかない。
しかし、女性と連れ添うところを見られたら、女性問題、家庭問題、ひいては人間性までもが想像たくましく語られ、陰口を叩かれる。二人はカウンターにこっそりおしのびのつもりでも、周りは百も承知、まるで裸の王様である。僕にとっては、奇抜なかっこうで変わり者扱いされるよりも、女性問題で後ろ指指される方がよっぽど恥ずかしい。人間の価値観・倫理観は個々にあってそれを否定するつもりはないが、女性問題を起こす本人は仕方がないにしても、家族やその周囲までもが奇異な目で見られていることを想像できないのだろうか。この想像が働かないことが、まさに「恥」である。
さすがに5分丈パンツははけませんが、
このジャケットを通常丈のパンツと合わせたら
相当かっこいいでしょうね。