院長のコラム

日常診療からみた親子関係(1) 

りんご飴

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先日、娘の学校保護者会に参加してきた。会の冒頭の校長先生の話には、いたく感銘を受けた。最初に、学校が全面的に責任をもって子供を預かることを宣言し、そのためには保護者にも協力を求めた。その心得の一つが、「優しく甘やかすことが教育ではない、自立(自律)させることが本当の教育である」という内容だった。よく聞く話ではあるが、その用いた例えが斬新で、思わず得心した。

何と、祭りの屋台でよく売っている「りんご飴」を例に挙げたのだ。りんご飴に用いられるりんごは、単体だけなら小さくて酸っぱく決して美味しいものではない。飴をかけることによって、甘さと酸っぱさ、硬さと柔らかさが絡み合って絶妙な味覚を呈する。りんごが本人自身、飴を親の愛情、りんご飴を人間性に例え、飴という愛情をかけ過ぎれば硬くて甘いだけ、逆に少な過ぎても酸っぱいだけで、何れにしても美味しく味わえるものにはならない。もちろん、りんご自体の熟成も重要である。教育はとかく勉強(偏差値)で語られることが多いが、まずは人間性が大事であること、そのためには親の適切で適度な愛情・理解を注ぐことが必要であることを熱く語られていた。
物見遊山で気楽に行った会であったが、教育の真髄を聞かされ、どんな講演会で聞く話よりも琴線に突き刺さるものであった。

脳-腸軸という言葉があるように、心身と胃腸は密接な関係で結びついている。したがって、胃腸の不調を訴えて来院する人は、程度・頻度の差はあるが老若男女関係ない。当クリニックでは、さすがに小学生受診はないけれども、中学生以上の受診は少なくない。
当クリニックでの十二指腸潰瘍の最低年齢は14歳である。みぞおちの痛みが市販薬を服用しても良くならず、祖母に連れられての受診であった。もちろんピロリ菌陽性だったが、何らかのストレス因子が強烈に加わったことは想像に難くない。

中高生が受診をする場合、大半が親子で診察室に入ってくる。診察時の反応を見ると、大別して二つに分かれる。一つは子供を無視して親が必要以上にしゃべる場合、二つ目は親も子供もあまりしゃべらない場合で、前者が8割程度の印象である。前者の問診はいたって簡単で、説明する親の病状経過をまとめて、足りない点を本人に聞けば良い。後者の場合が困る。なぜ一緒に診察室に入って来のだろうと思うくらい親がしゃべらないので、本人に聞くほか手段がないのだが、答えた質問に鸚鵡返しのように単語でしか返事が返って来ない。「何時から症状が出たの?」「昨日」、「昨日の何時から?」「夜」、「夜って寝る前、寝てから?」「寝てから」、このような調子である。しかも、「うん」「そう」等、敬語・丁寧語が使えない。
何れの場合も、何らかのストレス因子が子供に関与していることが類推されるので、学校や家庭でイヤなことがないか問診するのだが、明らかになることはあまりない。病状背景に親子関係も強く関与していることが想像されるのだが、心身医学的アプローチは出来ても、解決方法・手段を持ち得ない自分には、不完全燃焼のまま終わることが多い。
(つづく)

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