院長のコラム

日頃の行いが悪いと言えば 

2013.02.10

自戒の念をこめて

この細菌が、胃炎、胃十二指腸潰瘍、
ひいては胃がんの最大要因と言われています。
画像にすると、飼っておきたいような気分になる形態ですが。

 消化器内科医として、ピロリ菌の除菌治療に携わっている。当院では、1回目の治療で85%程度除菌されるのだが、除菌されなければ2回目の治療となる。その際、患者さんから「先生、どうしてですか。なぜですか。」とよく質問される。
「あなたの持っている菌種の多様性です。」とか「宿主側(あなた)の素因や免疫環境です。」と専門的なことを話せば、いくら時間があっても足りない。文献的な話は出来たとしても、目の前にいる患者さんがなぜ一次除菌不成功になったのかを保険診療範囲で説明することは不可能で、現代の医学をもってしても即答できない。したがって、僕は患者さんに「日頃の行いが悪いからですよ。」と先ず答えるようにしている。不思議なもので、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をほとんどの人が見せる。けれども、反論する人は誰もいない。「やっぱり、そうですか。」と、不思議なくらい妙に納得するのである。「いやいや、冗談ですよ。本当のところはよく分かりません。とにかく2回目の治療を頑張りましょう。」と話せば、皆が表情明るく診察室を後にしていく。
会計をする患者さんの声が受付から診察室に漏れ聞こえてくる。「ピロリ菌の治療失敗したよう、日頃の行いが悪いせいらしいで。」と笑いながら自虐的に話す患者さんに、スタッフが苦笑しながら懸命に対応している話し声には、こちらまで微笑ましくなってくる。

「臨床現場で大切なものは、笑いである。」(読み人知らず)を実感する一瞬である。「おもてなし」や「癒し」を標榜して設立したクリニックである。しかし、そんな空気を掴むような実態のない上っ面なモノよりも笑いが大切である、と最近感じている。
いくら丁寧に結果を説明しても、大腸内視鏡検査中何度声掛けしても、万人に思いが届いているかと言えば決してそうではない。ごく稀にだが、怒って帰った人もいれば、終始不満そうな顔で診察室を出て行く人もいる。このような方は二度と来院することはない。
一方、笑顔で帰られる方は、必ず定期的に検査を受けに来てくれる。何よりも患者さんが患者さんを連れてきてくれる。患者さんアンケートが、このことを的確に伝えてくれている。

ところで、長嶋家の宗派は、曹洞宗らしい。らしいと言うのは、亡き父がそう言っていたのと、両親が眠る墓が曹洞宗のお寺に在るというだけであり、由縁を知らなければ、父の故郷である山形の菩提寺に参ったこともない。両親の年忌法要の際、和尚が唱える摩訶般若波羅蜜多心経のリズムに心地よさを感じ、和尚の説法に得心するが、頂いた曹洞宗在勤行聖典を日常行動の規範にしている訳ではない。
燃えるような真っ赤な夕陽を見た時、雲ひとつない夕刻に冷徹なまでの満月を見た時、夜行列車に乗っていて一軒家の窓に映る一家団欒の光景を見て郷愁を感じた時など、日常生活の中で、自分の心にふと沸き上がってくる、不思議な感覚を覚えることが多々ある。

この感覚は何だろうと考えるが、よく分からない。分析はできないが、おぼろげに感じるのは、そこここに神様がいて何かを伝えようとしているのでは、ということである。八百万の神という宗教観が自分の中に根付いていること、それは即ち日本人のDNAが刻み込まれているということだろうか。
患者さんには、戒め半分冗談半分によく使う言葉「日頃の行い」、日頃の行いが悪いのは僕自身であることをよく知っている。したがって、実は自分自身を諭すため言い聞かせるために使っている節があることを、最近ようやく理解できた。これも神様の思し召しか。

八百万の神々とgoogleったら、こんな素晴らしい絵画に出会えました。
何でもそうですが、一つに盲信することは危険です。
先ずは、両親に感謝・・・・。

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