田坂三郎(旧姓相川)=長谷川博己
最近気になる俳優
最近、映画やドラマを見なくなった。映画は最低でも2時間は拘束されるので、平日は全く無理、休日も何かと用事があり時間を割けない。ドラマの時間帯は、家にいる時は入浴や子供を寝かせなければならないし、平均すれば週2回は外食しているので、連続ドラマを定期的に見ることは困難である。何よりも、見たいと思えるものがない。
ところが今、とてもハマっているドラマがある。日テレ水曜日夜10時から放送されている「雲の階段」である。原作は医師でもある渡辺淳一さんのものだが、読んだこともなければその題名さえ知らなかった。見ようと思って見始めたわけではなく、第一回目の放送は見落とした。通常なら以降見ないものだが、第二話放送日のお昼に1回目の再放送を偶然見てしまった。水曜日の午後は、プールで水泳の後モスバーガーに行って、帰宅してからワイドショーのミヤネ屋をソファに座って眺めながらうたた寝をするのが日課である。
ミヤネ屋が終わって、ぼーっとしながら見始めたのが「雲の階段」である。詳細は省くが、国家資格のない離島の診療所事務職が、手先の器用さを買われて医師の手伝いをさせられるようになり、いつの間にか若先生と呼ばれるくらいに知識も技術も身につけたところからドラマが始まった。
長谷川博己という俳優の存在が最近気になっていた。初めて見たのは、「家政婦のミタ」のお父さん役である。当初は、情けないどうしようもないお父さんを演じている役者程度の印象しかなかったが(素人がすいません)、あるシーンを見て凍りついた。突然の出来事にうろたえるシーンで、顔面を痙攣させていたのである。程度の差はあれ、目や表情や声で表現するのが役者だと思っていたが、筋肉、しかも顔面の筋肉を随意にどうやって痙攣させたのか、思わず見入ってしまった。そのシーンを見てからは、ストーリーや内容よりも、長谷川パパが気になって仕方がなかった。
ちょうど同じ頃、「セカンドバージン」の再放送を見る機会を得た。情けないパパとは打って変わって、エリートビジネスマンを颯爽と演じていた。そのギャップに度肝を抜かれた。自身まだ見ていないが、「鈴木先生」というテレ東のドラマも知る人ぞ知る番組だと聞いている。「雲の階段」が終わってから見ることにしよう。
今回の「雲の階段」でも、ハセヒロワールド満載である。今回演じる三郎さんは、目がすべて、喜怒哀楽を目だけで表現していると言っても過言ではない。特に手術のシーンは圧巻である。瞬きを一切せず目の玉が飛び出るくらい見開いて、ひたすらメスを振るう。
このシーンを見る度に、確かな知識と技術をもって患者さんにひたすら向き合うニセ医者と、医師免許を持っているのに患者に向きあおうとしない医者、どちらが本当の意味で医者なのだろうか、自身に刃を向けられているようで考えこんでしまう。
僕がよく映画を見ていた頃、話題性や監督ではなく主演俳優で作品を選択していた。その頃好んで観ていた俳優は、ロバート・デ・ニーロ、ダニエル・デイ・ルイス、ラッセル・クロウであった。何れの俳優も、強烈な個性と存在感を持っている。
年齢を経た今、俳優に対する意識が変わりつつある。存在感を感じさせない、代表作のイメージをことごとく打ち崩すカメレオンのような俳優が気になるようになった。長谷川博己がその人だと今感じている。
次回は、なぜ僕が「雲の階段」にハマったのかを自分なりに考えてみたい。