スペインと日本の融合
秋冬の装い2013
例年のごとく、10月上旬に衣替えをした。しかし、今年も昨年と同様残暑が厳しい。とはいえ、ファッショニスタにとっては、いよいよ装いの季節の到来である。最高気温30℃近い中、秋冬モノの上着とパンツをはき、長袖のカットソーを着てやせ我慢していた。しかし、あまりの暑さに、衣装ケースにしまった半袖T-シャツを再度出さざるを得なかった。衣替えはいつしたらいいのだろう、年々、季節の境界があいまいになってきていると思うのは僕だけだろうか。
この秋冬のヨウジヤマモトオムは、アウグスト・ザンダーの写真集から影響を受けたそうだ。長年同じブランドを購入していると、「えっ、今回もそのテーマ?以前もあったよな。」と思ったが、同じ写真集をモチーフにしたコレクションながら、自身同じものを購入していないところをみると、その都度耀司さんのアプローチの仕方が異なるのだろう。しかも、ヨウジヤマモトオムしかり、多くのブランドが今シーズン、アニマルテイストを取り入れている。はるか昔の写真集と今年のトレンドのミックス、ファッションこそ温故知新だと思う。今年の秋冬コレクションの写真を見て、しばらく振りに白のYシャツを着たいと思っている。
ところで、今年1月、知り合いに誘われロエベのレザー受注会に参加してきた。今年の秋冬レザーのセミオーダー会らしく、大阪のとあるホテルのフロアを借りきったものだった。知人が「この人、見学に来ただけだから。」と紹介してくれたものの、普通に街を歩いていても怪訝そうに見られるのに、ましてやスペインの老舗ブランドのVIP様限定受注会である。スタッフ、来客から冷たい視線を浴びせられ、アウェイ感に曝された。けれども、「僕はお供なので、」「後学のために、」の言葉のお陰で、誰に対応されるでもなくじっくり商品を見ることが出来た。ファッションに一癖二癖を求める人間にとって、「革の質はいいけれども、デザインが保守的でちょっとなあ。」が正直な感想で、食指は全く動かなかった。
ところが何とこの秋冬、そのロエベがコム・デ・ギャルソンのジュンヤワタナベ(渡辺淳弥)とコラボレーションしたと言うではないか。
以前から、ジュンヤワタナベは気になるブランドだった。ヨウジヤマモトが会社更生法を申請した時、「次はジュンヤかな。」と思ったくらいである。今は、「2回目の会社更生法の申請はさせまい。」と(自分が頑張っても目くそ鼻くそにもならないが)、以前にもましてヨウジ一筋になった。したがって、ジュンヤのコレクションはわざと見ないようにしている。
ブランドも、老舗と言うだけで生き残っていけない時代である。老舗ブランドが、自身の変革のための起爆剤として選んだのが日本人デザイナーだとすると、渡辺淳弥さんは、ある意味日本の誇りである。複雑な思いはあるけれども、渡辺淳弥さんの偉大さを感じた今日このごろである。
ちなみに、偶然訪れた大阪阪急メンズ館で、ジュンヤとロエベの期間限定ポップアップイベントに出くわした。パッチワークとビンテージ加工が施されたジュンヤのデニムに、ロエベの上質な革が組み合わされたデニム。同様の処理がなされたロエベのアイコンであるアマソナバッグ。スタッフに聞いたところによると、ロエベの顧客よりもコム・デ・ギャルソンの顧客の反応が高いそうだ。どちらにも所属しない僕でも、実物を見て試着すれば記念に欲しいと思ったくらいである。真夏の時点で既にヨウジの秋冬モノで予算オーバー弾切れの僕は、指をくわえてよだれを垂らしながら見ているしかなかった。