院長のコラム

『41歳の地図』 PART2

2008.05.8

『紀州路往来』 
長嶋医院は弟が継いだので、勤務医を続けるか開業をしようか思案しつつ、40代半ばを一つの目処にしていた。しかし、4年前から開始された新研修医制度のため開業は前倒しされることになった。地方の医師不足が顕在化し、今や地域医療は深刻を通り越し悲惨な状況にある。かくいう自分も、在職した3年間のうち2年間を一人で、日常診療・検査はもちろん、学会・研究会発表を精力的に行った。先の見えない不安、消化器というニーズの高い診療科を一人で背負う責任の重さに耐えきれなくなった。「立ち去り型サボタージュ」というよりは「燃え尽き症候群」といった方が妥当か。南和歌山医療センター退職後は、開業準備をゆっくり進めつつ、「腕」が鈍らないようにするため、そして少しでも地域医療に貢献できればと考え、県下各地の病院の非常勤内視鏡医として働く事になった。車で通勤に10分という生活とうって変わって、(月)新宮医療センター(火)国保串本病院(水)公立那賀病院(木)長嶋医院(金)隔週で国保日高総合病院と国保すさみ病院、北から南まで1週間に車を約650Km、長距離運転手のような生活を送った。当初、車の運転に慣れていない私は、検査や治療で疲れるよりも運転に疲労困憊し、帰るや否や倒れ、そのまま朝まで寝ることも多かった。しかし、人間の適応、順応力とは恐ろしいもので、和歌山市までさえJRを使っていたのに、今では車を長時間運転することは全く苦痛にならなくなった。むしろ7年乗ったア◯○ァ○メオ156の方がだんだん調子悪くなり、レ◯○スISに乗り換えることになった。(周囲からは保守的だとか、イメージに合わないとか散々文句を言われたが、車の品質、デザイン、店舗のおもてなし等費用対効果を考えればこんなに優れたブランドはないと感じている)
それはさておき、紀州路往来・縦断して感じたことが二つある。一つは、上部内視鏡検査(以後上部と略)があまりにおろそかにされているのではないか、という懸念である。若い先生達は、上部を診断のための検査としてではなく、IVHや動脈血ガスと同様の手技や処置としてとらえているのではないか、と疑ってしまうことが多々あった。大腸内視鏡検査(以後大腸と略)は、どの病院どの患者さんに聞いてもつらい検査との評判で、挿入は上部と比べてかなりの工夫とコツ、経験、それにセンスを要する。したがって、若い先生方は上部をやりたがるが、大腸はやりたがらない。しかし、一旦回盲部まで挿入すれば、存在診断や見落としが少ないのは大腸の方で、見落としが多く存在診断に苦慮するのは上部の方である。内視鏡専門医として、これから内視鏡を触る先生にはこの点を重々承知理解してもらいたい、と思う。
もう一つは、県下の医師不足、医師偏在問題である。研修医制度の変更に伴って明らかになった諸問題、弊害は、制度の変更にのみ端を発している訳ではない。我々が卒業する頃、10年ちょっと前には医者が余っているとの理由で医学部の定員は減らされていたはずなのに、現在は逆の状況である。その効果が現れるのはやはり次の10年後である。医局という教授を頂点とした絶対的な人材派遣システムが崩壊し、その代替派遣システムが今後も準備されないだろう今、人の動きや流れを止める事は困難で、都市部の有名病院のポストが埋めつくされるまでの当面は、ますます医師の偏在・地域格差が広がることだろう。道路と同様、医療の均衡ある発展を望めない現在、短期的には今ある人材でやりくりしなければならない。田辺市を起点に県下を往来した経験上、和歌山県は広いようで案外広くない。県の医療行政主導の下(各自治体同士では到底不可能と考える)、基幹病院に人材を集約化するとともに、これらの人材の行き来、交流を活発化させることによって地方の医師不足は少しでも解消出来るのでは、と考えている。勿論、我々開業医も自らの安全を守るためにその人材とならなければならないことは自明のことである。(自らも、毎週水曜日の午後の休診を利用して、県下の公立病院の検査を手伝わせてもらっている)

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