エヴァンゲリオン
栄枯盛衰
二十歳を過ぎてから、自分の意思でアニメを見ていないように思う。宮崎アニメを何本か見たが、子供に請われて購入したDVDを側でチラ見する程度である。経過や結末を断片的にしか覚えていないので何回見ても飽きない。覚えている限り最後に映画館で観た映画は「銀河鉄道999」だろうか。
三十路を過ぎてから漫画も読まなくなった。手塚治虫作品が好きで購入して読んでいたが、臨床医に戻ってからは漫画を購入することはほとんどなくなった。漫画と言っていいかどうか、現在本棚に唯一あるのは小林よしのり氏の「昭和天皇論」だけである。漫画よりも雑誌や本の方が好きなので、昨今、政府主導でクールジャパンと称して伝統文化やポップカルチャーを海外に売り込む動きがあるけれども、これらのお勧めコンテンツはと自身問われれば日本人ながら答えに窮する。
今回の表題であるエヴァンゲリオンも、絶大な人気を誇るアニメという一般常識以外ほとんど知らないと言っても過言である。おそらく今後も観ることはないだろう。語れもしない、そもそも知らないことを表題にするとはこれ如何に。
僕の好きなブランド、ヨウジヤマモト社が、自身のブランドを複数展開するコンセプトショップ「Ground Y」を渋谷にオープンしたことは知っていた。ターゲットが若年層で男女兼用が狙いなので、ヨウジファンではあるが食指は全く動かなかった。けれども先日ネットを眺めていたら、Ground Yとエヴァンゲリオンがコラボするアイテムを1月23日から発売するという情報を得た。写真を見て思わずうっとり、これ欲しいと素直に思った。「いい歳とったおっさんがアホちゃうか。」と思われるのは承知しているが、この襟の形にこのフォルムに半身を切り返した遊び心、僕が求めるジャケットの理想形の一つである。
エヴァンゲリオンを知っている方に今回のコラボの話をしたら、「あのエヴァンゲリオンが白羽の矢を立てるくらいだからヨウジヤマモト社って凄いんですね。」と逆に誉められた。長年の愛用者としては複雑な気分である。日本が世界に誇る服飾ブランドが商業主義に走った、と直様思った。しかし同時期、あのコム・デ・ギャルソンが、アナ雪ことアニメ「アナと雪の女王」とコラボした情報を見て「ああ、アナ雪でなくて良かった。」と安堵した。敷居の高いと思われていたブランドが若年層に向けて門戸を広げることは、ブランド維持のためにも必要不可欠であることを認識させられた。
ブランド維持で思い出したことがある。年に数度上京する際、青山にある本店に足を運ぶようにしている。ここ数年、以前とは異なる光景を見るようになった。中国人客が圧倒的に多いのである。しかも、その購入の仕方を傍で見ていると傲岸不遜としか言いようがない。スリムとは到底いえない体で次々試着をし、着られたものをどんどんテーブルの上に積み上げまとめ買いしていくのである。小難しいことを聞いては何度も試着し、ようやくセットアップ一点を購入する僕のような日本人と、指図一つで大量に購入してくれる中国人、どちらがブランドにとって大切かは自明の理である。
アニメとのコラボに中国人の占拠、長年のヨウジファンからすれば戸惑うことの多い昨今である。服飾から栄枯盛衰を垣間見ている。