院長のコラム

僕が僕であるために

夢や希望について

今回は、尾崎豊の名曲「僕が僕であるために」をコラムの表題にした。自我同一性の確立を叫ぶわけでもなければ、反体制を声高に唱えるものではない。生きて行くためには何が重要なのだろう、最近ふと思った。

「夢や希望を持ちなさい。」、「目標を持ち続けなさい。」、「常に目的意識を持って行動しなさい。」という言葉がある。親から子、目上から目下、上司から部下、地位や立場の上の者が下の者に投げかける常套句である。この言葉自体が持つ意味は正論である。夢を追い求めている人を見れば応援したくなる。目的を持って頑張っている人を見れば、こちらまで嬉しくなる。
一方、これくらい捉えどころのない言葉もない。というのも、頑張っている親、手本となる目上、自信に満ち溢れた上司という存在を、僕自身あまり見たことがないからだ。言葉の意味とその言葉を発する者に乖離がある、と感じるのは僕だけだろうか。「頑張れ!頑張れ!」と大声で叫んでいる人を見ると、「あなたも頑張ったたら?」と内心ほくそ笑んでいる。

若くして母親を亡くしているせいだろう、もはや十代でロマンチストを放棄した。医学生時代の夢と言えば、父のような内視鏡を専門とした開業医になれれば、程度の細やかなものであった。医師になった後も、具体的な目標はなかった。ただ、いつか開業する日のために自身が納得できるものを確実に身に付けて行こう、とだけ決意した。医師になって十年、特定の医局に属さなかったにも関わらず、医学博士・内科総合専門医・学会専門医・支部評議員を取得出来たのは、目的意識というよりも開業医としての矜持を持ちたい、ただそれだけであった。
開業を決意した時も具体的な展望はなかった。自分が学び経験してきた有象無象をクリニックで具現化したい、今までになかったものを作りたい、ただそれだけであった。したがって、借入額は当初考えていたよりも一・五倍に膨れ上がり、夢のままに終わりそうな金額になった。しかし、僕にとっては、自分らしくいられるクリニックであることが重要だった。何も確信はなかった、後は野となれ山となれ、そんな投げやりな気分で開業医の第一歩を踏み出した。

開業して九年、平成二十七年度は三千七百件近い内視鏡検査をさせていただいた。目標がなかった僕には、この検査件数が多いのか少ないのか、よく分からない。夢がなかった僕には、この検査件数でも夢が叶えられたとは到底思えない。最近、少し疲れてきたかなと感じるが、水泳のおかげでもっと頑張れるような気もしている。ただ思うことは、検査をさせてもらえていることへの感謝だけである。
「僕には夢がなかった。」、最近ふと思ったことである。だから、僕には夢や希望を語る資格がない。けれども、伝えることは出来る。自分らしく生きてさえ行けば、夢や希望がなくても生きていけることを。尾崎の歌詞「僕が僕であるために」の一節、

僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない
正しいものは何なのか それがこの胸に解るまで

勝ち続けなきゃならないのは他の誰でもなく自分自身なのでは?、そうも思った。

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