新建築 part 5
お金で買えない価値がある
左側の写真は、空中に浮かんだ不思議な空間です。左の空間の隙間から岩屋観音が見る事ができます。右側の写真の大きな窓からも岩屋観音がきれいに借景としてみることができます。
話は随分それましたが、確かに建築家にお願いすると高く付くかも知れません。ほぼ同時期に開業した先生から聞いた話では、延べ床面積が異なるので単純には比較できませんが、当院は1.5倍程建築費がかかっています。例えば、向こうが3千万円ならこちらは4千5百万円かかるわけです。経営者としてこの1千5百万円の差をどう考えるかです。診察室から2階の内視鏡室へ移動する際にテラスから見える光景、仕事が一段落して待合室と称するラウンジから覗く岩屋観音、階段を上って内視鏡室に渡るブリッジにたたずんで感じる不思議な空間、マスターカードの宣伝ではありませんが「お金で買えない価値がある」といったところでしょうか。実際はお金を多くかけているのですが、金額に換算出来ないものを建物からたくさん与えられているような気がします。何よりも、働いていて飽きない、日々新しい発見がある、快適で気持ちいい。
夢ばかりみていてはいけません、現実的に考えてみましょう。開業する場合銀行から融資を受けて、おそらく20年程度の返済を組みます。1千5百万円増を計算すると、月々では8万円、1日にすると3500円程度上乗せするくらいの支払いになります。金額だけをみれば、心臓が飛び出そうになるくらいびっくりしますが、長期的にみればCD1枚程度の負担増となります。極力建築費を抑えて借金を少なくし早く返済して気分的に楽になるか、自己満足の為建築にこだわってその分余計な支払いをしなければならないか。私は経営者として迷わず後者を選びました。建築家にお願いして診療所を建てたという話はあまり聞きませんので、多くの同業者は前者になるのでしょう。どちらの判断が正しいとか間違っている、どちらが優っていて劣っているとかではなく、どちらも経営者の判断であり、どちらも患者さんを直そうと一所懸命であることに変わりはありません。ほんの少しの意識の差だけだと思います。