日出ずる国の時計
収集家とまでは言えませんが、いくつか腕時計を持っています。時計は、男にとって数少ない身に付けることの出来る装飾品です。20年経っても次の世代に父親の思い出の一品として引き渡すことができます。車と比較すれば、場所をとらず値段も安く収集できます。いくつか持っていれば、洋服を選ぶようにその時の気分に合わせて時計も着替えられます。時計は洋服と同じで、身に付けている人の価値観が何となく分かります。これらの理由で、人生の節目節目には腕時計を購入してきました。
以前には、「初めて時計を購入するのですが、何がいいですか。」と聞かれたら迷わずロレックスを勧めていました。というのも、自分が30歳になった時、あれこれ思案に思案を重ね、その時も確かロレックスも選択肢の一つでしたが、その当時の(今もそうですが)高級時計イコールロレックスという風潮がたまらなく嫌で、ピンクゴールドのケースに囲まれたシンプルな文字盤の革ベルトのオメガを購入しました。限定品で、裏スケルトンになっていて自分では満足の一品でしたが、ロレックスのステンレス3連ベルトのシンプルな文字盤のものを身につけている人を見ると、羨ましく、何だか「負けた」という気分になりました。次の記念日には迷わずロレックスを購入したのは言うまでもありません。
現在、同じような質問をされたら迷わず「SEIKO」を勧めます。シンプルなものが好きな方には「グランドセイコー」を、個性的なものを好まれる方には「ガランテ」を、女性には「M」をお勧めします。特に「ガランテ」は、実力、内容はもちろんのこと、これが日本製の時計?と思わせるくらい意匠にこだわりがあります。レクサスを選択した時もそうですが、良いもの、おしゃれなものは海外品という先入観、固定観念を捨てれば、身近に日本人の日本人による日本人のための優れた製品があることに気づかされます。
固定観念でガチガチだった頭を一度シャッフルして購入したSEIKO製品が、その名も「日出ずる国」から由来をもつ「izul」です。昔の計測用ストップウオッチみたいな外観、ケースが2階建て構造になっているため厚みがあり、その2階部分が回転可能な構造になっており回転させることによってストップウオッチと通常の時計を使い分けします。ケース幅は51mm、機械はもちろんSEIKOの誇るスプリングドライブクロノグラフ。ちょうど開業1周年を迎えたのと、息子が志望中学に入学したのを記念して、清水の舞台から飛び降りるつもりで60回の分割で購入しました。よく「それどこの時計?」と聞かれ「SEIKOですよ。」と答えると、ほとんどの方からいぶかられました。残念ながら、クリニックに置いていた数多の雑誌しかり、ヨウジヤマモトしかり、僕の選んだ時計はいみじくも生産中止になってしまいました。