院長のコラム

「きのう何食べた?」(1)

「きのう何食べたか覚えてる?」、五十そこそこの僕に妻が問いかける機会が多くなったような気がする。「医療法人理事長に向かって失礼な。」と内心思いつつ、「あんた俺のことを馬鹿にしているやろ。俺はそこまでボケてないよ。」と返答するものの、はっきり答えられなくてついついお茶を濁してしまう。特に、外食をして飲酒量がいつもより多くなってしまうと、何を食べたか度忘れすることが多くなった。それくらいならまだましで、どうやって帰宅して、風呂に入って、寝床に入ったか思い出せないこともある。困るのは翌日で、財布と携帯電話がいつもの場所にないので「忘れてきたかも。」、出勤する前に冷や汗をかくことが少し前から多くなった。「認知症の初期症状かな?」と思いつつ、アルコールに対する耐性が弱くなってきている現状に「随分と歳をとったなあ。」、老いを感じている今日此の頃である。

今回は、僕の老いて寂れていく話ではない。ドラマを見なくなって久しいことは、何度もこの場で述べてきた。平日、朝出勤して約九時間、食事を摂らないのはもちろん、日によっては休憩時間も全く取れず馬車馬のように働き続けることもある。すると、帰宅して先ず缶ビール一本、一気に胃腸に流し込む。何たる美味か、至福の瞬間である。そして、NHKニュース7を見ながらの夜食である。近頃のNHKは、ドラマやバラエティ、ドキュメンタリーは感心するものが多い。けれども、こと報道に関しては偏向報道のきらいがある。疲れている日に限って、「もうNHKに受信料を払わん!なんな、この放送の仕方は!」と画面に噛み付くことが多い。疲れた身体に、いきなりの脳天チョップ攻撃にテレビに向かって吠える。この文章を読まれている方は、「そんなんなら、(NHKニュース7)見らんでもいいやん!」と思うかもしれない。一応社会人なので、一般教養として今日一日何があったか知っておかなければならない。それでも、あまりにひどい報道スタイルの時にはチャンネルを変える。それが、他局の番組に変えてみてもどれも同じなのだ。「あっははは~」「え~~」「ホント?」「ふんふん」そんな効果音が終始流れる、いわゆる、ひな壇型バラエティ番組しかやっていない。アルコールにやられた脳でも、僕にだってプライドがある。そこまでバカにはなれない、(テレビ局に)馬鹿にされたくない、(テレビ局の)思う壷にハマりたくない。結局、NHKニュースの戻るのだ。

そこで登場するのが「なつぞら」である。一家団欒の時に振り上げた拳を挙げたままにしておく訳にはいかない。俗に言う落とし所を自分で見つけなければならない。怒り心頭で火照った身体を冷やさなければならない。そこで、いつもの台詞になる。「そろそろ見よか。」、連続予約で録画している「なつぞら」に切り替えるのだ。僕も、なっちゃんと同じ年齢の娘をもつ親である。時折、なっちゃんの生き様に娘を投影することがある。たった十五分だけれども、十五分前の僕とは明らかに異なる穏やかな自分を感じるのだ。日常生活に疲れた時、連続ドラマは一服の清涼剤になる、それを実感している今どきの僕である。(つづく)

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