院長のコラム

ありえへん話〜本編・後編〜

帰りの車中、何とも言えない雰囲気だった。戦闘モード全開で乗り込んだ割に、帰り際は「もっと何か言えたんじゃないか。」、「もっと懲らしめてやれたんじゃないか!」、「得意げに潔く撤退した自分に酔っているんか?」、「(相手が)最初からきちんとした対応を取っていてくれていれば、ここまで揉めんかったのに。」。自身が自分を嫌なのは、自信を持ってとった行動に後からくよくよすることだ。「もっといい方法があったのでは?」、いつまでもいじけている。まさに竜頭蛇尾である。

今回の件、勝った負けた論で言えば、こちらが追及し相手が謝罪した以上勝ったに違いない。額面上は勝ったけれども、気持ち的には少し和らいだだけで残るものは何もなかった。やるせない気持ちだけが残った。相手側も、たかだか小規模な医療法人に大規模組織が白旗を上げざるを得ない状況に追い込まれてしまった(心機一転になることを祈るばかりである)。基幹病院としての矜持はズタズタにされたことは紛れもない。戦いが終わって振り返ると、決して三方良しの結果にはならなかった。傷つけあうだけの闘争に終わった。勝利と敗北の先には一体何があるのだろう。

「あかん、あかん!」もう一人の僕が叫ぶ。「殊勝になっている場合違うやろ。」、「これからも、もっとこんな場面があるで!」。今回の件は、売られた喧嘩を買っただけで、こちらからは一切啖呵を切っていない。道理が通らないことに異議を申し立てただけである。開業してはや十五年、振り返ってみれば程度の差はあれ摩擦や軋轢、衝突の連続だった。雇う方と雇われる側、職場の人間関係、業務の委託者と受託者、お金を貸す方と貸される方、所属した団体でのいざこざ、僕の社会的地位を利用しようと近づいてくる輩。常時ではないが、組織に属している時(勤務医時代)には予想もしなかったことへの対応に腐心することが多くなった。たくさんのことを経験した分、リスク管理の引き出しは随分増えた。けれども、もういい年齢なので破天荒ではなく凪の人生になることを願っている。

随分長くなった。今回の件で結局何を言いたかったのか。それは、「医者の言うことを鵜呑みにするな!」である。信頼性が高いとされる医療機関でさえ、受けた覚えのない検査を説明もなく同業者に請求するのだ。やっていることは、ぼったくりバーと何ら変わりない。確かに医療費は複雑である。検査自体以外にも○○加算と称するものが多数付随してくるからだ。診療報酬明細書(いわゆる領収書)を見て納得いかなければ、気兼ねなく受付に質問すればいい。受付で対応出来なければ、きっと責任者が対応するはずだ。それでも納得した説明が得られなければ、加入している保険組合に問い合わせればいい。それでも納得出来なければ、「徹底的に闘う!」、もしくは「二度とその病院には行かない。」の二択だ。「我々医療従事者は、モノを買うのと同じように納得出来るサービスを公定価格で提供せねばならない。」、今回の事案を機に肝に銘じた。(次回も番外編に続く)

長嶋雄一クリニックお問い合わせ

診療科目(内科・消化器科・胃腸科)
診察週

月・火

木・金
奇数週
(第1・3・5週)
8:00 ~ 16:00 8:00 ~ 16:00 8:00 ~ 15:00
偶数週
(第2・4週)
8:00 ~ 12:00
休診日︓第1・3・5週水曜日、第2・4週土曜日/ 祝・日曜日