院長のコラム

ある意味写真家

2015.05.10

五十前の手習い

 高級な機器を用いて1日に千枚近い写真を撮る。それを生業としている仕事と問われれば、すぐに浮かぶのは写真家であろう。ある意味、僕も写真家かもしれない。ポルシェ911が買えるような内視鏡機器を用いて、平日には胃腸の写真を千枚以上撮る。この行為を生業としているが、プロの写真家と異なるのは、撮った写真を売ることができないし買ってくれないことである。内視鏡医の撮る写真は、診断のための記録写真だからだ。

僕が内視鏡医になった頃は、1本辺り20枚撮れる内視鏡専用フィルムに写真を記録していた。フィルムが現像されるまで時間がかかり、現像されたとしてもカンファレンスと称する症例検討会で小さなフィルムを多人数で供覧するのは困難なので、診断に適した写真は検査中に4枚一組でプリントアウトしていた。したがって、現像されたフィルムを改めて見直すことは余程のことがない限りなかった。それは即ち、他の医師がどのような手順でどのような写真を撮っているかを学ぶことが出来なかった。関連病院を転々としていたこともあり、自分なりの撮影手順を身に付けるのに7、8年はかかっただろうか。ちょうどその頃に、MOという光記録媒体が出てきた。何枚でも写真が撮れ、検査終了直後に自分の撮った画像が確認でき、検査後にプリントアウト出来るようになった。
時代は更に進歩し、僕が開業する頃には、内視鏡画像に限らずX線画像や超音波画像を患者単位で一元管理できる画像ファイリングシステムが普及し始めていた。電子カルテの導入もあり、当院は、この地域でいち早くペーパーレス化を導入した医療機関である。

機器の進歩とともに大事なのが技術である。画像に対するこだわりが芽生えたのは、川崎医科大学での研修期間であった。それまでは、自己流で他人との比較検討をする機会を得ないでいた。
教室では、教授から入局したてのスタッフまで全員の上部消化管内視鏡フィルムを供覧するルーチンワークがあった。日常業務が一段落した時刻に部屋を暗くして行われていたので、睡魔との戦いでもあった。うつらうつらしながらも、他人の撮る写真を見ることによって、スムースな写真撮影方法や綺麗な写真の取り方が自然と身についていったような気がする。しかも、撮った写真を見て誰が撮った画像か何となく理解できるようになった。「字は体を表す」という言葉があるように、「写真は体を表す」、一枚の内視鏡写真から検者のこだわりを垣間見られるようになった。

この春から心機一転、友人に誘われて初心者のためのカメラ講座に月二回通うことになった。何気なく撮っていた写真を少しでも綺麗に撮れれば程度の趣味半分、絞りやシャッタースピード、露出等の専門知識を少しでも身に付けたいという向学半分の軽い気持ちで通うことにした。用いるカメラも、実売価格5万円程度のミラーレス一眼である。
3回ほど講座に通ったが、今まで意識せず撮っていた写真撮影を、ピント・背景・構図を考えて撮るようになった。時代の進歩を感じるのは、ひたすら練習に打ち込めることだ。何枚写真を撮っても大丈夫、気に入らないない写真はゴミ箱に捨てるだけ。先日課題提出があったがプリントアウトもいとも簡単だ。SDカードをプリント屋さんに持って行って、お気に入りの写真を選択して打ち出すだけ、ものの15分で綺麗な写真が出来上がってきた。不思議なもので、カメラ教室に通いだしてから内視鏡写真を撮る姿勢も変わったような気がする。
まだまだ学ぶことが多いと感じる今日此の頃である。

課題提出2枚目。
クリニックからの風景。

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