院長のコラム

いざ、マンダリン・オリエンタル・ホテル・バンコクへ

2013.09.15

関西国際空港を昼前に発ち、時差2時間遅れのバンコク・スワンナプーム国際空港に到着したのが現地時間の午後4時前であった。マンダリン・オリエンタル・ホテルバンコクは、空港から車で40分程のチャオプラヤ川沿いにあることを現地スタッフから聞かされた。車外はあいにくのスコール、日本で言うところのゲリラ豪雨と思いきや、雨期のタイでは「いつものことですよ。」と現地スタッフのそっけない返事に、「日本が熱帯化しているのか。」と妙に納得した。だんだん市街に近づいて行く車窓を眺めながら、厚い雲の下に見える灰色の街並みに、雑多という言葉が思い浮かんだ。

高速道路を降りて中心街と思しき道路をしばらく走り、メインの通りから二度ほど折れた車の少ない道路をふいに右折したところへ突如ホテルが現れた。客室数が400近くあるホテルとは思えない瀟洒なエントランスであった。ホテル内に一歩踏み込めば、映画を見て脳に刷り込まれた風景とは言え、なぜか懐かしさが込み上げてきた。ロビーは、映画で想像していたよりも天井が高い割にコンパクトであった。正面は、中庭を見渡せるように全面ガラス張りになっていて、アンティーク調でしつらえられた家具はこのホテルの格式と伝統を、ふんだんに飾られている生花は異国情緒を伝えていた。

いよいよフロントにチェックインである。たまたま、日本人スタッフが対応してくれた。このホテルに足を踏み入れただけで十分満足していたところに、サマセット・モームスイートが取れたことを伝えられた。半信半疑のままロビーを横断して彼女の後に付いて行くと、僕の眼前には次々と映画の光景が繰り広げられ、憧れのオーサーズラウンジが目の前に現れた。これが映画なら優美な音楽が奏でられるシーンだが、現実世界では心高ぶらせる音楽は流れない。ただ、僕の脳内では「サヨナライツカ」の映画音楽が終始流れていた。また、視覚だけの映画と異なるのは、気温・湿度といった皮膚感覚に、昔からそこにある香りが伴っていたことだ。

オーサーズラウンジから、宿泊者以外立ち入ることのできない階段を一歩ずつ踏み締めるように2階デッキに上がり、左に折れさらに右方向へ進むと、当然のことだが、映画と全く同じ光景がそこにあった。ふわふわの毯通のせいか、半信半疑のためか、夢が実現するという期待感からか、雲の上を歩いているような地に足がついていない感覚を覚えた。
いよいよ部屋の前に来て、ホテルスタッフが、今時珍しい長いブレードの鍵を鍵穴に入れて部屋を開けようとするのだが、ガチャガチャ音はするもののなかなか開かない。これが映画なら即NGものだが、現実世界はNGだらけである。その姿を見ながら、昔も今も、そして今後もこの光景が繰り返され続けるのだろう、とふと思った。
ようやく、待ちに待った白い扉の向こう側が開かれた。

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