まさかやー!コロナで激太り
2020年4月を機に経営の潮目は全く変わってしまった。患者数、検査数の激減は明らかだった。当院のように、予約受診・検査中心のクリニックは、予定検査が終了すれば開店休業状態である。それなら、診療形態を変更する方法もあった。しかし、予約された内視鏡検査といつ受診に来るか分からない発熱外来をこなすのは、現実問題困難である。従来のスタイルを継続することにし、午後4時までの診療時間を診療終了後に切り上げることにした。診療が終わっても院長が居残れば、スタッフは帰宅しづらい。考えた末、体力向上とストレス発散目的のためスイミングに行くことにした。
それまで週2回程度のスイミングが、多い週には5回通うこともあった。自身もそうだがスタッフだって、来ない患者を待つストレスと無駄な時間のロスは苦痛だ。あれから2年、新型コロナ感染者増減の波と検査件数は常にパラレルだった。件数が持ち直して来たなと思ったら、第◯の波とともにシュリンクを繰り返して来た。医業経営だけを見ると悲劇的だったが、お荷物だった介護事業がようやく軌道に乗っていたため、精神的に悲観せずに済んだ。体力的にも、スイミングのお陰で四十代の頃より充実しているような気がしていた。それが錯覚だったと気づいたのは、つい最近である。
衣替えをしてTシャツを着るようになった今春、以前着ていたTシャツがどうもキツイ、もしくはピタピタなのだ。「週5回も泳いでいたら、そりゃ胸板も厚くなるよな。」と自分に言い聞かせた。長い髪のせいで美容室に行くのは半年ごとである。久しぶりに鏡に映る自分を見て、「あれ?(自分って)こんなに大きかった?」と訝しんだ。この段になっても体重計に乗ることはしなかった。「腹部の贅肉はあまり変わらない。これだけ日々運動していたら、太るはずがない、太りようもない!」と決めつけていた。ある日、久しぶりに会った知人から「あれ、太った?」と言われようやく半信半疑になり、恐る恐る体重計に乗ってみた。「ぎゃあああ!まさかやー!」、卒倒しそうになった。
体重計に乗ったのはもうコロナ禍前である。自分が抱いていたイメージ体重よりも8Kgも増えていた。コロナ前は平日1日1食と週2〜3回のスイミング、コロナ後は週3〜5回のスイミングに、スイミングの日は1日2食が常態化していた。「以前の倍の運動量だから、倍食べても大丈夫!」と考えたのは過信だった。胸と肩周りの筋肉量は確かに増えた。けれども、それ以上に脂肪もついてしまった。老いるとはこういうことなのだ。確実に基礎代謝量が減っている。毎日体重計に乗ることを意識した途端、3Kg減った。しかし、これからが正念場だ。増えた筋肉を維持しつつ贅肉を落とさなければならない。高血圧の人が毎日血圧を測るように、健康維持の第一歩はまず体重計に乗ることだ。医者の不養生、医者の世間知らずを地で行くことになってしまった。少しでも長生きできるよう、再び出直しだ。