やっぱり笑えないよ、徳井。
納税の申告漏れおよび所得隠しを指摘されていた、お笑いコンビチュートリアルの徳井の活動再開が発表されたようだ。納税手続きをすべて完了し、専門家から納税や保険手続きについて学び、新たな税理士と顧問契約を結んだことが活動再開の理由のようだ。「えっ、チョット待ってよ。」、元プロ野球選手板東英二氏が、以前同じような所得隠しで活動自粛した際は復帰までに一年以上かかっている。申告漏れは前者が約一億二千万、後者が約七千五百万。金額的に見てもどうも合点がいかない。
以前このコラムで、今回の彼の件について私見を述べさせてもらった。国民の義務を行ったこと、社会の一員として富の再分配に寄与しなかったことを問題視した。更に述べるなら、経営者的観点から彼を許せない。我々一般人は、事業を起こすとなれば銀行や信用金庫から融資を受けなければならない。そのためには事業計画書を策定し、融資先に日参しなければならない。雀の涙ほどの自宅まで担保に取られる。それ以降も当たり前の話だが、毎年会社の決算書と個人の確定申告書を融資先に提出し、不安や疑念を抱かせるような結果になれば融資は見送られてしまう。納税することは即ち会社を存続させることでもある。借金を返済しながら従業員の給与と税金も支払う、中小零細企業の経営者は日夜苦心しているのだ。彼のように確定申告を無視し、方や二億のマンションや高級外車、高級腕時計をキャッシュで購入と言う話を聞けば、我々の神経を逆なですることは当然である。
世間は芸能人のお金に関する出来事には相当厳しい、吉本興業は学んでいないのだろうか。八年前、所属芸能人の親族が生活保護を不適正もしくは不正に受給したのではないかという騒動が起こった。「今、おかんが生活保護を受けていて、役所から“息子さんが力を貸してくれませんか?”って連絡があるんだけど、タダで貰えるんなら、貰っておけばいいんや」と語っていたことが報じられた。国会議員をも巻き込み世間から総スカンを食らった。その後、彼は謝罪会見を開き生活保護費の一部を返還した。けれども、今や彼を表舞台で見ることはなくなった。つい先日、Yahooニュースで現在の彼のことが取り上げられていたが、コメント欄は辛辣なものばかりであった。彼および彼の親族はモラルの低下を追求されたが、決して違法行為をしていた訳ではない。翻って徳井はどうだろうか。重加算税という罰則が課されている。「払ったんやからもうええやろ。」で済まされる問題ではないと考える。
本人と会社が決めたことなので、我々のような部外者がこれ以上言うことはもう何もない。自ら墓穴を掘った人間が、どのように再生するか見守っていくだけである。しかし、お笑い芸人としての彼をテレビで見ても、もう笑えない。きっと虫唾が走るに違いないし、すぐさまチャンネルを変えることになるだろう。人を許すことの寛容さを持たなければならないことは十二分に理解できている。○億の負債を抱え、マイカーは残価設定型ローン、腕時計は無金利分割ローンで支払っている器量のない男の戯言である。