アマヌサ
アマン最終日
アマヌサは、ヌサドゥアというインドネシア政府がバリ島の観光を活性化するために特別に造られたリゾートエリアにあり、旅行代理店イチオシのホテルである。アマン間の送迎はスタッフが行い、ホテルへの道すがらなら何処にでも連れて行ってくれる。ドライバーが行きたいところがないかいくつか挙げてくれたので、シルバーアクセサリーとバティックの店に寄ってもらった。見るだけのつもりが、何れも予定時間を大幅に超えてしまった。何れのショップもアマンと提携しているわけではなく、現地のスタッフが厳選した仲介料を取っていないショップだそうだ。
初日、二日目とは異なり、車が進めば進むほど街並が活気づいてきて如何にもリゾート地という雰囲気が漂ってきた。この辺りがヌサドゥアと呼ばれる地域なのだろうという高級感を覚えた頃、車はゴルフ場内に入っていった。どうやらアマヌサはゴルフ場に隣接しているようだ。ヌサドゥア一帯を見渡せる小高い丘の上に立つアマヌサは、他のアマンが隠れ家的だったのとは対照的に、ザ・リゾートホテル感を何処よりも演出しているように感じた。
初日、二日目とは異なり、何と日本人スタッフが応対してくれた。今までの鬱憤を晴らすがごとく色々なことを話し質問した。海外のプレミアムラグジュアリーホテルに日本人スタッフと来れば、究極のおもてなしを感じるかと思ったが以外にそうではなかった。言葉を話せない挫折感、言葉が通じたかどうか分からない不安感、その一方、必要最低限のことしか話さなくてもいいので程よい距離感が保たれる。言葉を話せないが故に状況を打破すべく努力を惜しまない。障害、困難にぶち当たれば当たるほど、強く思い出に残ることを今回の旅行で身に染みて分かった。
ホテルは異なるが同じグループである、三日目ともなれば慣れたものである。早々に水着に着替えてプールでゆったりとした一時を過ごし、泳いだ後は館内のショップを眺めライブラリーで寛いだ。
僕は自称「海外で和装をする会」の会長である。会員は我々夫婦だけである。昨年同様、旅行最終日の晩餐に和装をした。昨年は、西洋人はもちろん日本人からも賞賛の目を注がれた。今回、妻はヨウジヤマモトの絞りが施された着物風コートで和風を装ったが、僕は金粉で髑髏が施された黒い着物を着て「ザ・テラス」という名の開放的なレストランに向かった。お盆という時節柄日本人が多く、しかもどう見ても訳ありカップルが多い中で、我々夫婦は奇異な目で見られるだけであった。単なる「変わり者の日本人」に成り下がったのが残念だった。
その日のディナーは、日本人用のメニューが提供されたので悠々自適に料理を選択することが出来た。しかし、その夜は、立地がリゾート地中心のせいか、バイクや車がアクセルをふかす音が遠くに聞こえ、バリ滞在中最も良く眠れなかった。
今回御縁があり、バリのアマンリゾート3ヶ所を巡って来た。それぞれが地の利を活かして甲乙つけ難かった。もし次回行く機会を持てるなら、今度も3ヶ所を、次は逆の順番で巡ってみたいと思う。
そのアマンが、いよいよ今年度内に東京に進出するとのこと(現時点では開業未定)。リゾート地の隠れ家的ヴィラホテルが特徴的なアマンが、東京のど真ん中でどのような形でアマンイズムを表現するのか疑問でもあり楽しみでもある。
今年の夏も、大過なく無事過ごせたことを神に感謝するばかりである。