院長のコラム

アルデバラン


「アルデバラン」、初めてこの語句を知った時、初耳にも関わらずすっと耳に馴染んだ。どういう意味だろう?早速ググって見た。牡牛座のα星の固有名。学術的なこと、観測学的なことには興味がないので省略する。占星術的には富と幸福の前兆となる幸運の星、アラビア語で「後に続くもの」を意味する。アルデバランは、言わずと知れたNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の主題歌である。森山直太朗作詞作曲、AIが歌うこの曲は、アルデバランの語感と意味と同様、切ないイントロにドラマの世界観を見事に表現した歌詞がとても心地良い。物語は終盤に差し掛かり佳境に入って目を離せない。

朝ドラを欠かさず見るようになって早4年、今作は自分史上1、2位を争うドラマである。決して批判するつもりはないけれども、前作は展開が緩徐でテンポも単調、登場人物が暗く、セリフも独りよがりの印象だった。したがって何度も見落とし、撮り貯めたものをまとめて見ることが多かった。ドラマ「おちょやん」の主題歌ではないが、朝ドラには「泣き笑いのエピソード」とリズム感が重要だ。「カムカムエヴリバディ」は、3人のヒロインが母から娘へとバトンをつなぐ三世代100年のファミリーストーリーと謳っているだけあって、とにかく進行速度が早い。一話見逃すと内容が分からなくなるため見落とせない。ヒロイン3人それぞれに波乱万丈の人生があり、何度神回があったことか。しかも3人が運命の綾でつながっていて、終了まであとわずか、伏線回収に固唾を呑む日々である。

三世代100年のファミリーストーリーと言えば、我が家も同様の物語を紡ぎ始めた。今春、長男が医師国家試験に合格した。東北の寒い地を嫌って南国の地にたどり着いた父。直接後を託されなかったが、同じ道を自らの手で切り開いた不肖の長男。そして三代目の誕生である。信じてもらえないと思うが、子供達に医師を志すよう指示したことはない。いつまでも親が子の面倒を見ることは出来ない。「自分の人生は自分で決めればいい。」、自らも実践しているように子供達にもそう言い聞かせてきた。自分の意志で医学の道を選んだことは嬉しいし、それが3人もなら望外の僥倖である。けれども、医師になったからと言ってクリニックと介護施設を子供達に継承するつもりはない。自分の役割を認識し、祖父と僕の想いを酌み、引き継ぐ気概があるものにバトンを託そうと考えている。「親が開業医だから」、「開業医の方が儲かるから。」「継げって言われたから。」、そんな卑近な気持ちで引き継ぐなら一番迷惑なのは患者である。我が家の「カムカムエヴリバディ」はとうとう令和編に突入した。

ところで、朝ドラを欠かさず見るようになって8作目になる。賛否両論あるかと思うが、個人的見解として大阪制作の方が妙に性が合っている。4月から東京制作の「ちむどんどん」が始まる。今から、次回作に不安を覚えるとともに、「カムカムエヴリバディ」ロスに脅えている。情けないかな、いい年こいた中高年男性の切実な気持ちである。

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