グッドバイからはじめよう

 友人の訃報に際して 

まだまだ引きずっています。今日1日、何かすっきりしないまま時間だけがただ流れていきました。父親が亡くなった時、たくさんの方から声をかけられました。「まだまだ若いのに、これからだったのに。」「惜しい人を亡くしました。」「あなたの父親は素晴らしかった、すごかったよ。」等々。しかし、一月が過ぎ、半年が経ち、1年を迎えて、そして8年という歳月が流れました。今や、私の父親のことを語る人はほとんどいません。時折、患者さんに「先代にはよく検査をしてもらったよ。ところであなたは長嶋の次男か？」思わず机をひっくり返しそうになります。心の中で「どこの世界に一と名前のつく次男がいるんだよ！」と叫んでいます。

死ぬということ、この世からいなくなるということ、退いては押し寄せる波のように、考えまいとすればするほど纏わりついてくる観念、昨日からぐっさと突きつけられ慌てふためいている自分がいます。この世に存在しているということ、そしてこの世に存在したという証。
昨日、今日と後向きにしか考えられなくなっている自分。明日は、少しは前向きになれるかな？

今のこの憂鬱な気分を晴らすために、私の大好きな佐野さんの歌詞に託して。

「グッバイからはじめよう」

ちょうど波のように
さよならが来ました
言葉は　もう何もいらない
ただ見送るだけ

遠く離れる者
ここに残る者
僕が決めても　かまわないなら
何も言わないけれど

どうして　あなたは
そんなに　手を振るのだろう
僕の手は　ポケットの中なのに

ちょうど波のように
さよならが来ました
言葉は　もう何もいらない
ただ見送るだけ

どうして　あなたは
遠くに　去って行くのだろう
僕の手は　ポケットの中なのに

ちょうど波のように
さよならが来ました
あなたは　よくこう言っていた
終わりは　はじまり
終わりは　はじまり