院長のコラム

サカナクション

サカナクション山口一郎氏を初めて知ったのは、2009年から3年間NHK教育テレビで放送された「佐野元春のザ・ソングライターズ」という音楽番組。ホストである佐野さんがゲストを招いて、立教大学の大学生とともに「音楽における言葉」すなわち歌詞を探求していく番組。シーズン2のゲストの一人が山口さん。当時放送を見たけれども、新進気鋭のミュージシャン程度の認識で終わった。長いスパンをおいて彼らに興味を持ったのはコロナ禍最中。緊急事態宣言が発出されている間は、旅行にも買い物にも行けなかった。連日テレビでは感染者数・死亡者数が報告され、一般放送を見てもうんざりするだけ。そうかと言って映画を観るには時間と心の余裕がない。そんな状況下、良く見ていたのがYouTube。好きなミュージシャンを流し見している中で出会ったのが、サカナクションのミュージックビデオ(MV)だった。

特に、MV「忘れられないの」に惹かれた。80年代の懐かしさを感じさせるスローテンポなポップミュージックでありながら、リズムやアレンジがサカナクションらしく跳ねるように軽やか。メロディアスな曲調とキャッチーな歌詞も秀逸ながらMVが出色。肩パッドが思い切り入ったジャケットを着た杉山清貴を彷彿させる出で立ちの山口さんが、リゾート地を模したバックで歌って踊る映像に思わずにんまり。以来、「新宝島」、「多分、風。」、「夜の踊り子」、「アルクアラウンド」、「ナイロンの糸」等MVを何度も繰り返し観るようになった。素敵な曲には然るべき歌詞が生まれてくるように、素晴らしい音楽には相応の映像が付随してくることをサカナクションで知った。音楽表現という枠だけにはまらず、映像表現にもこだわる山口一郎氏。山口さんが紡いだ楽曲を、耳に訴えるだけでなく五感に届く形で表現するプロジェクト、それがサカナクションのように感じた。

この何もかも制限されている時期、「止まない雨はない、空けない夜はない」、厚い雲間から光が漏れることを想い、真っ黒な夜の帳が空けるのを願い、行動制限がなくなる日のために三つのファンクラブに入会することにした。佐野元春、浜田省吾、そしてサカナクション。前二者は言わずもがな、無垢な十代の魂を激しく揺さぶった二人。かたやサカナクションは、邪念にまみれ不純な五十代の僕が選んだ。若い時のような衝撃さと情熱を持って向き合うのではなく、音楽と映像を高度に癒合させて表現する彼らのライブを純粋に観たいと思った。この年令になると新しい価値を受け容れるのが容易ではないけれど、失いそうなモチベーションの破片に火を灯したのがサカナクション。ファンクラブに入会して間もなく、ライブ「SAKANAQUARIUMアダプトNAKED」の案内が届いた。しかし、関西は平日開催でどうしても断念せざるを得なかった。それからしばらくしてメンバーのプライベート問題が発覚、関西公演が延期される連絡が届いた。結局、その後の公演も延期され最終的にはツアー自体が中止となったようだ。この5月に放送されたNHKスペシャル「山口一郎“うつ”と生きる〜サカナクション復活への日々」でツアー中止の理由が赤裸々にされた。

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