院長のコラム

サヨナラ、そしてコンチハS660


もう三十年前以上の大学院生時代のことである。ホンダのディラーを通った際、ミントブルーの「BEAT」が目に入ってきた。BEATは、S660の前身と言われているオープン2シーターの軽自動車である。引き寄せられるかのように店舗に入って行って見積もりをしてもらった。学生とはいえアルバイトをしていたので、買えないことはなかった。何としてでも欲しかった。けれども独り身に二台も車が必要か、豪雪地帯で二台の車の保管管理が可能か、相当悩んだ。結局のところ断念せざるを得なかった。

幾星霜を経た2015年3月、S660の発売が発表された。積年の恨みを晴らすかのように、発売直後にプレミアムミスティックナイト・パール(ブラックメタリック)のαをオーダーした。この車は2シーターでトランクがないに等しいため、二人の長距離旅行は不可能である。しかし、街乗りや通勤でのシティコミューターと割り切れば最適であった。発売されて三年後、マイナーチェンジとモデューロXの追加が発表された。モデューロXは、メーカーが開発した専用のカスタマイズパーツを装着したコンプリートカーである。買い換える予定はなかったが、ディーラー担当者がモデューロXの見積もりを三年残価設定で出してきた。現車の下取り率66%、三年の残価保証58%の設定で、月々の支払いが一万八千円程度だった。これくらいの負担ならと買い換えることにした。外観とインテリアの差別化はもちろん、五段階に調節可能なサスペンションが前車のバタバタ感とは異なり懐が深くなっていた。

今夏、三年目の車検および残価クレジットの終了を間際にして、三月十二日ホンダから重大な発表があった。来年三月をもってS660の生産を終了すること、生産終了にあたって最終特別仕様車「Modulo X Version Z」を発売するとのことだった。Version Zはマニュアル車のみの設定なので全く眼中になかった。問題は、乗り続けるか買い替えるかである。最近、三年以上同じ車に乗ったことがなく、残価設定型ローン終了以降の支払いを経験したことがなかった。試算したところ、残価保証されている58%を四年四十八回で支払うため、月々の支払いは倍の三万六千円程度になる。買い替えた場合、下取り率は58%の残債を優に超える75%のため頭金を六十万円程度準備するのと同じで、更なる頭金なしで月々の支払いは四万円弱である。四千円余分に支払って新車にのるかどうかの決断を求められた。

猶予は全く無かった。「先生の希望するモデルは、来年三月までに百台の生産予定しかありません。今予約しても、八月末生産枠を取れるかどうかです。」とディーラー担当者。「本当か?」疑心暗鬼ながら一晩考えて、買い替えることを決意した。ディーラーの定休日を一日またいで契約しに行ったところ、もはや八月末生産枠は埋まっていて九月末生産枠になってしまった。本日(三月二十七日)、オプションのことで担当者に連絡したところ、「先生の希望するモデルは枠が埋まってしまいました。今も問い合わせが多数ありますが、希望するモデルは完売している場合が多く、モデルはかなり限られてきていますよ。」との返答だった。

自動車の電動化は待ったなしと言われている。この先、S660のようなミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)レイアウトの2シーターオープンスポーツカーは開発されることはないだろう。このような考えの投機を目的した人や今まで購入を躊躇していた人々が購入を検討しているので、早期の受注停止が予想される。僕は単に、三年車検とクレジット・ローンが終了するため買い替えを検討しただけだが、改めて考えると運が良かったと思う。歴史に名を刻む名車の最終モデルに乗れるなんてそうそうない。いや、ひょっとして運を使い果たしのかもしれない。いやはや、令和三年はどんな年になるのだろう。

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