院長のコラム

タクノミの勧め


大分以前から、知人夫婦を自宅に招いて家飲み会(略してタクノミ)をしている。三連休の中日が何かと都合がいいため、日曜の夕刻から開始することがほとんどである。それぞれの家族が負担にならないよう、馴染みの店にオードブルを頼んで持ち寄るようにしている。我が家のダイニングテーブルは六人用なので、知人夫婦以外にゲストを招くこともあるが、あまり多くなると会話が散漫になるので最大でも六人が限度である。

タクノミのメリットを上げればきりがない。家族ぐるみで食事をするということは、そもそも気心が知れているので余計な気を使う必要がない。何よりも周りに気兼ねすることがない。酒量に応じて会話が弾む。時には弾け過ぎて、ここでは話せないような内容、政治や宗教といった酒席で厳禁な話になることもある。胸襟を開ける関係なので話は尽きない。けれども僕は、とりとめのない会話を忌み嫌う。酒席は三時間が限度である。それ以上になれば、会話内容の繰り返しになるだけで意味ある話も無意味になる。ありがたい話も忘却の彼方になる。生き方と同じで、惰性はウンザリだ。六時に飲み始めれば、九時過ぎには必ず会を終了している。ゲストを見送れば、その後僕は何をしていたのか、どうやって寝床に辿り着いたか、全く覚えていない。目が覚めたら翌朝なのだ。キッチンには空き缶と空き瓶が散乱している。「昨日は何があったかよう分からんけど、楽しかったな。」、いつも余韻が残る。

COVID-19がパンデミックになって以降、「Stay Home」が全世界共通の合言葉になった。外出は出来ない、仕事は暇、泳ぎにも行けない、毎日三十分も走れる訳がない、老眼が酷いので読書も半時間が限度、何もすることがない。「何もすることがなければ、自分で何かを始めればいいやん!楽しみは自分で見つければいいやんか!」、発想の転換をすることにした。その一つの具体例がタクノミである。三ヶ月に二度ほどのタクノミが、四月以降、週一もしくは二になってしまった。これは単に、僕の外食回数が自宅になっただけのことである。頻回になったもう一つの理由は、飲食業界が持ち帰りに重点を置くようになったからだ。お店の味が自宅で楽しめ、お店では生ビール・中、五・六百円程度が、自宅では缶ビール三本飲める。僕の仲間に蘊蓄を語る人間は誰一人いない。序盤は白、終盤は赤のテーブルワインで十分だ。外食なら飲んで食べれば大人一人あたり六千円が目処だが、家で飲めば四割減で済む。迎え入れる準備や後片付けは大変だが、帰り際の「またね!」の笑顔には励まされる。

五月十四日、和歌山県でも緊急事態宣言が解除された。今週週末、日用品を買いに二ヶ月ぶりに和歌山市に出かけた。イオンモール和歌山はそこそこ賑わっていた。けれども、まだ外食という気分にはなれないでいる。飲食業界は大打撃を受けている。少しでも役に立ちたいと思うけれども、自分の本業も低迷している現在、億劫になっている。オーバーホールに出していた腕時計を取りに行った時計店では、期間限定で信じられない回数の無金利キャンペーンが行われていた。いつもなら、「えっ、月々その支払で買えるの?」と飛びつくところだが、自粛モードの今は魂に火がつかない、冷静にならざるを得ない。支払いを終えるのは父親が亡くなった年齢を優に超える。「流石にそこまで生きていられる自信はないなあ。」、以前より物欲が湧き上がってこない。タクノミを勧めておきながら、タクノミからの脱却がCOVID-19からの解放かもしれない。

 

 

 

 

 

 

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