院長のコラム

ディランに会いに(宴のあと)

(ここから先の文章も、あくまでも個人的見解で、ディラン・ファンにとっては気分を害する可能性があります。)ライブに行って初めての経験をした。ディランの名曲「Like a Rolling Stone」の歌詞の一節、「How does it feel, how does it feel?(どんな気分?どんな気分だい?)」と問いかけられている感じ。大変貴重でプライスレスなイベントであることは客観的に理解できる。1階のGOLD席、BOX席のコアなファンの喜びようはビシビシと伝わってくる。さすがは大阪フェスティバルホール、どこで聴いても同じように聞こえる音響システムは圧巻、ディランの声は間近に聞こえる。けれども、舞台上でピアノを弾いているディランは立っているのか座っているのか、薄暗くてよく見えない。ということは、表情や仕草なんて分かりようもない。1階席の熱い応援と比較して我々のいる2階席は案外冷めた印象で、中には寝ている人も。

「How does it feel, how does it feel?」、もっとディランを予習しておけば良かったのか、アルバム「ROUGH AND ROWDY WAYS」を聴いていれば良かったのか自問自答してみる。けれども、出てくるのはあくびだけ。音楽というくらいだから単純に音を楽しみたいところだが、歌詞が分からない上にメロディーラインが単調にしか僕には聞こえない。惜しむらくは、「酒があればこのブルージーな雰囲気に身を任せられるのに。」だった。悪戦苦闘したライブは6時45分頃に一旦終わった。ディランが拍手に応えたように一瞬見えたが詳細は分からない。盛大な拍手は鳴り止まずアンコールがあるかと思いき、無情にも会場の照明は点灯されライブ終了の館内放送。ライブは2時間強と読んでいたが、思いの外早く終了してしまった。場内から退場し入館口まで移動の間、二人の間に会話はなかった。何と表現して良いのか適切な言葉が浮かばなかった。前を歩く夫婦から「全部一緒に聞こえたわ。」という声が聞こえてきて、「自分たちだけじゃなかった。」と安堵した。

特別な夜には、食事もスペシャルなものにしたかった。芦屋在住の同業医師に前もって連絡しておいた。御縁とは不思議なもので、この先生夫妻とはランボルギーニのイベントでたった一度出会っただけ。前回はユーミンのライブ後にミナミのイタリアン、今回は先生馴染みのヒルトン大阪で7時半に待ち合わせすることに。少し早い目に到着したのでロビーで待っていると不思議な光景を目の当たりした。「ここは日本?」と思うくらい外国人が多い。しかも、かなりの確率で「ルイヴィトン&草間彌生」のショッパー(ショップ袋)を持っている。きっとコロナ禍の収束と円安によるものだろう。かつて海外で猛威を振るった日本人は、いまや海外勢と逆の立場に。思わぬところでポスト・コロナを垣間見た。「ボブ・ディランどうでした?」のO先生の第一声に、「正直なところ微妙でした。」と即答。久しぶりの再会は、美味しい料理と大変興味深い内容の会話で、ライブと異なりあっという間に三時間が過ぎた。

ライブの結果や内容はともかく、伝説のミュージシャン ボブ・ディランと同じ時間を同じ場所で過ごせたことに違いない。自分史において貴重な1ページが刻まれたことは確かだ。御年80を超えているけれども、まだまだ声が若々しく100分程度の演奏をほぼ休憩なくやりきったディラン。またの来日を祈りたいところだが、次回もライブに行くかと問われれば、正直なところ微妙。これが、興味本位でボブ・ディランに会いに行った僕の話である。

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