院長のコラム

ドン・ファンよ、永遠に

四月二十八日は休診の水曜日である。ゆっくり過ごす予定が、朝一の「紀州のドン・ファン急性覚醒剤中毒事件 容疑者逮捕」のトップニュースで起こされた。ニュースを見た途端、嫌な予感がした。二時間後、上空をヘリコプターが旋回していた。午前中はいつものように寛ぎ、午後からルーチンのスイミングに出かけた。一時間弱泳ぎ車に置いていた携帯電話を見たところ、見知らぬ番号の着信が何度も入っていた。

かけ直したところ、案の定、テレビ局クルーから「取材をさせて欲しい。」との依頼だった。事件後、遺族や会社の方との交流は全くなく話すことは何もないことを説明して依頼を断った。「それなら、以前取材した映像を使用してもいいですか?」とお願いされた。これに関しては許諾した。ランチを摂って帰宅中、県警のパトカーがやけに多い。我が家から程ないところにあるドン・ファン邸の様子を見に行ったら、あまりにも多い取材陣に家の前の道を回避することにした。我が家近くのコンビニは、県外ナンバーの車やタクシー、地元のタクシーで賑わっていた。あの頃の賑わいが蘇った。翌日は昭和の日で祝日であった。どこで聞き出したのか、取材スタッフが突然我が家を訪ねて来て、容疑者のことを聞かせて欲しいと懇願された。接点がほぼないことを説明したが、今さらながらのことを聞いてくる。連休明けも、取材をさせて欲しいとクリニックにアポ無しで訪れる記者がいた。「もう、いい加減にしてくれ!」と内心思いつつ、彼らも仕事なのだからと自らに言い聞かせて応対した。

容疑者との接点は瞬間だった。亡くなられる少し前、野崎さんの会社の番頭さんから「愛犬イブちゃんの送別会があるから出席してください。」との連絡が入った。「はぁ、犬の送別会をホテル?相変わらずドン・ファンの考えていることはよう分からんな。」と思ったが、野崎さんが再婚したことを噂で聞いていたので、「妻のお披露目会も兼ねているのかな?」と平日開催であったため取り敢えず返事を保留することにした。その後は、周知のごとく急転直下の展開である。用事があり通夜には出席できなかったため、番頭さんを介して式の前の焼香をお願いした。当時、若妻には家政婦さんが寄り添っていた。家政婦さんとは何度か面識があったため、「社長と交流のあったお医者さんですよ。」と彼女に紹介された。生前お世話になったことに感謝を述べ焼香させてもらったが、サングラスをかけたまま、こちらを見向きもしない、何も返答がない。単刀直入、相当感じの悪い印象だった。帰宅してからも、思わず妻に「今度結婚した奥さん、どうも外国人と違うかなぁ。日本語通用せんかったわ。」とこぼしたくらいくらいである。この瞬間の出来事が僕と容疑者との全てである。取材陣から「二枚の写真を見てください。」と整形疑惑を尋ねられても、「元奥さんの知っていることを教えて下さい。」と問われても答えようがない。

容疑者が起訴されるかどうか近日中に答えが出る。生前の評価はさておき、全財産を田辺市に寄付するとの遺言を残した氏の遺志が早く実現することを祈る。そして、それが田辺市にとって有効的に使われることを願う。そうじゃなければ彼が浮かばれないような気がする。紀州のドン・ファン、軽蔑を込めて呼ばれることも多いが、僕にとっては好々爺として親しみのある呼び名である。改めてご冥福を祈る。

長嶋雄一クリニックお問い合わせ

診療科目(内科・消化器科・胃腸科)
診察週

月・火

木・金
奇数週
(第1・3・5週)
8:00 ~ 16:00 8:00 ~ 16:00 8:00 ~ 15:00
偶数週
(第2・4週)
8:00 ~ 12:00
休診日︓第1・3・5週水曜日、第2・4週土曜日/ 祝・日曜日