院長のコラム

バイバイ、マッハ号(後編)

ホンダの販売体制にも問題があるように感じている。当初、年間百台の販売予定で二年分の二百台を受注することがアナウンスされた。自分が何番目なのか、いつ頃納車されるのか一番知りたいところである。メイドインUSAとは言え、ホンダの本国は日本である。日本といえば「おもてなし」の国である。なのに顧客サービスは何処へやら、契約して以降全く音沙汰がないのである。心配になった僕は、大阪の展示会やNSX試乗会でメーカーの人間と思しき人に何度も質問したが全く聞く耳を持たない。「販売店に聞いてください。」の一点張りである。「販売店から連絡がないから聞いてるんやろ、このバカタレが!」、内心思いながらいつも歯がゆい思いをした。

納車後も、高級車を購入したという満足感を得られなかった。納車は、販売店にこちらから出向かなければならない。レクサスのような納車時のプレゼントもない。定期点検パックも別途必要で、しかも販売店によってその設定はまちまちなのである。うちの販売店は比較的良心的な価格設定だったが(それでも百近い)、ネットの情報だと三年間で百二十万というところもあった。アフターケア面でも満足感は得られなかった。ホンダと言えばモータースポーツ、モータースポーツと言えば鈴鹿サーキットである。折角高性能車を購入したにもかかわらず、その性能を発揮する場所がない。購入後サポートおよび購入者の交流も兼ねて、鈴鹿サーキットでの走行会のようなイベントもあっていいようなものだが、メーカーもしくは販売店からそのような情報を受けたことは一度もない。

もとより、ホンダはNSXを売る気があるのだろうか。フェラーリやランボルギーニのような高級車メーカーでも、残価設定ローンを積極的に導入して車の購入を促す努力をしている。残念ながらNSXには残価設定ローンは設定されていない。それは即ち、頭金の二百万円を除いた全額を購入時に支払わなければならない。うちにはそんなお金何処にもなかったため、銀行から借り入れする他なかった。僕が購入した店舗は常識的だったが、店舗によっては、車が生産されていないにも関わらず契約時に全額支払いを要求するところもあったようだ。月々に支払う金額と乗る頻度を考えれば、コスパは相当悪かった。月々に同じ金額を支払うなら、残価設定でフェラーリ二台に乗れる計算になった。約二年間所有して言えることは、コスパの悪さを補って余りあるものがホンダというメーカー及びNSXにはなかったということである。

ネットサーフィンをしていて、今回の出来事を裏打ちするかのような情報にぶち当たり更にショックを受けた。NSXの生産は当初、一日八台で月百六十台、年間二千台を予定しているとアナウンスされた。半分は本国米国、残りの半分がそれ以外の国に割り当てられ、日本には5%の年間百台が輸入される予定と聞いていた。ところが今年の第一四半期(一から三月)のNSXの米国での販売台数は、たった79台である。しかもマイナーチェンジ効果があったためで、通常は月20台前後の販売になる。昨年は年間を通して170台との情報もある。最も売れている国でこの有様なので、他国は言わずもがなである。NSXの販売不振は相当なもので、米国ではインセンティブと称した実質12%の値引き販売をしているようだ。

若い頃に思い描いた夢を二年前に叶えた。当時、夢を叶えることが出来た自分自身を誇りに思えた。けれども、今、現実を突きつけられている。自分の夢を叶えることにうつつを抜かし、当時、常日頃冷静でいることを求められる医師として舞い上がっていたのではないのか、法人の理事長として欲に目がくらんだのではないか、自問自答する日々である。そういう中で、ある出来事が、僕の背中を押して夢の車を売却させることを決断させた。

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