院長のコラム

パテックフィリップとルイヴィトン(最終)

景気のいい話ばかりで、これを読んでくれている方の中にはしらけている人もきっといることだろう。決して自慢している訳ではないことを理解してもらえれば幸いである。2008年から自分の身に周りに起こったこと、自分が感じ思ったよしなしごとを、つれづれなるままに書き連ねてきた。2023年単年度でみれば鼻につく言動かもしれないが、16年という長い年月でみれば僕の人間としての歩みである。そして、ようやくそこにたどり着いて分かったことは、「上には上がある」だ。ルイヴィトンのトランクなら数千万、パテックフィリップの時計なら億を超えるものだってある。しかも、それを意図もなく購入できる超富裕層がこの世にはいるのだ。

そこを目指して糧にして生きてきたのではない。偶然と出会いが重なって、たまたまそこにたどり着いたに過ぎない。ルイヴィトンで言えば、ジェフ・クーンズとコラボしたバッグを阪急うめだ本店のコンコースウィンドウで目の当たりにしなければ興味さえ持たなかった。導かれるように店頭に足を運んでみたものの、ルイヴィトンと対極にある黒服男には誰も声をかけてくれない。もう帰ろうとした矢先、男性スタッフが「いかがしました?」と奥から出てきた。懇切丁寧に対応してくれた販売員(後に店長だったことを知った)がいなければ、その深淵なる世界に足を踏み入れることはきっとなかっただろう。パテックフィリップだってそうだ。パテックフィリップに興味を持ったのは2017年頃。当時も、人気モデルは予約満杯で予約を受け付けていなかった。しかし、それはごくごく一部であって、ノーチラスやアクアノートでもモデルによっては数年待ち程度でエントリー可能だった。偶然ショップを訪れた際、欲しい機種がたまたま納品されたばかりで、待機者ゼロになったタイミングにトップでエントリーすることが出来た。その後紆余曲折あったものの運良く購入でき、どうにか顧客リストの端に名前を連ねることが出来た。そのタイミングが半年遅ければ、三代雲上ブランドの一角に食い込むことは到底出来なかった。頻回の改定による現在の価格なら、自分ごときの稼ぎで購入は絶望的だ。

二つのイベントの後は、外苑前から代官山に移転した千葉学建築計画事務所に表敬訪問。もっと転居しているのかも知れないが、自分が知る限り今回で四件目。大通りから少し入ったヒルサイドテラスは、千葉さんの師匠でもある槇文彦さんの設計。三十年に渡って建てられた建物群は、街並みと調和するとともに相乗効果を生み出し、都心とは思えない瀟洒で心地いいエリアだった。その夜は、事務所近くの韓国料理店で本場の味に舌鼓を打ち、終始楽しいひと時を過ごすことが出来た。近況報告し合う中、どうしても言及せざるを得ない出来事も偽りなく話した。自分が依頼した五件の建築案件の中で、今夏、鍼灸治療院を閉じたことを報告した。全国雑誌にも取り上げられた店舗だった。しかし、ハコがいくら良くても中身が伴わなければ意味がない。あまりにひどい中身に決断を下す時がとうとうきた。人材不足もそうだが、肩書を持ちながらそれを活かせない新人類に悩まされている日々である。

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