院長のコラム

パテックフィリップとルイヴィトン(2)

6月24日土曜、午前9時台の飛行機で南紀白浜空港を出発。一時間ちょっとで羽田に着き、そこから会場のある西新宿の新宿住友ビルにある三角広場へ。このエキシビションは入場無料だが、当初事前予約制を取っていた。自分のような最末端オーナーでも一応顧客扱いしてくれたようで、付き合いのある店舗が到着時刻を予想して二時から三時半の枠を取ってくれていた。少し早い目に現地に着いて腹ごしらえをしたものの、予約時刻までまだまだ時間があった。ダメ元で時計店担当に電話してみたら、「指定された時刻は地下にあるVIPルームの利用時間で、見るのは構いませんよ。」の担当の返答とともに会場を回ることに。最終日前日の週末、かつ期中事前予約が不要になったこともあり、とにかく人が多かった。テーマごとにブースが10ルーム設けられていて、人気のディスプレイの前は人だかりが4重5重にも出来ていて遠目にようやく見られる程度。現行モデル前は大渋滞で、見てもパンダを眺めるように後方からの圧力が強く立ち止まることなんて出来ない。じっくりゆっくり見れば最低でも半日以上かかる興味深い展示会だったが、人の多さのため一時間強で切り上げることに。

その後、いわゆるVIPルームに移動して一段落。展示会のあとの別室なので商談もありきと思いきや、ただ単にくつろぐだけの場だった。それはそうだ、現在、パテックフィリップの正規店に行っても直ぐに持ち帰ることの出来る商品はない。物があったとしても、予約品もしくは展示専用品で手に触れることは出来ない。欲しい商品があれば実物を見ずカタログオーダー。オーダー出来たとしてもあくまでもエントリーで、予約に何人いて何番目の順番でいつ頃納入されるかはブラックボックス状態。しかも、現状の物価高に円安のため定価はうなぎのぼりで、僕が購入出来た5212A-001は発売した当初の定価が購入時には1.3倍に。あくまでも定価は納入時点であって、購入時に100万アップなんて話はザラだ。人気のアクアノートやノーチラスは一見では先ず購入不可能。もし購入したければ、先ずはそれ以外の時計を購入してようやくスタート地点に立てる。しかし、並んでいる人数がかなり多く必ずしも購入できる訳ではなく、購入金額によっては後回しにされることも。よく比較されるロレックスのデイトナやエルメスのバーキンどころの話ではない。「買えない時計の展示会って?」、ある意味業界トップと目されるブランドの矜持か、はたまた不遜なのか。

「上がり時計」という言葉がある。時計愛好家でよく使われ、すごろくの上がりが由来で、人生最後の時計とか、この時計を買えば他にはもう要らないと思える時計のことを意味する。価格の高低やドレスコードと関係ない自分なりの「勝負時計」はそれなりに持っているので、僕にとっての上がり時計とは、風雪に耐え還暦まで生きながらえてきた男がたどり着く時計になる。熟慮の末、パテックフィリップの「ワールドタイム」に行き着いた。松尾芭蕉の「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」ではないが、たった40ミリの世界で世界に想いを馳せることの出来る時計、それがワールドタイム。いみじくも、今回のエキシビションでワールドタイムの東京限定モデルが発表された。紫を基調とした文字盤に新機能が搭載されたそれは心震わせるものではあったが、あまりの仰天価格に夢はあっけなくついえた。

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