院長のコラム

ヤァ!40年目の城ホール

「さあ、ショーは始まったぜ!(佐野元春風)」、勇んで立ち上がった。「あれれ何なんだ、どうしたんだ。」、狐につままれたような気分になった。アリーナフロアはほぼ総立ちだが、スタンドフロアは半々だろうか、案外座ったままの人が多い。「今日は記念日やで、何で座ってられるん?」、釈然としなかったが、「これもいわゆる多様性なのかな。」と自分に言い聞かせた。本能の赴くまま手をたたき足でリズムを取りビートに身を委ねた。けれども、僕も五十半ばの中年男性だ。ましてや、行きと同様帰りの二時間も運転をしなければならない。スローナンバーでは、座ってじっくり聞かせてもらった。とは言え、とは言え、立ちもしない手拍子も打たない、毛髪密度の薄い前席のメタボな男性が終始気になって仕方がなかった。自身の寛容性のなさ、狭量性を改めて感じた。

ほぼ三時間ぶっ通しのコンサートをたった一言で評するならば、「粛々そして淡々に」である。ロック音楽なので騒々しいはずだ。なのに、入学式や卒業式でしばし用いられる言葉、似て非なる時には相反さえする二つの言葉が浮かんだ。「僕が今聞いている音楽は、佐野元春の四十年の歴史なのだ。アーティストとしての長年の歩みやキャリアを、たった三時間で聞こうとしている。」そう思うと重厚さと厳かさを感じた。片や、メモリアルコンサートにも関わらずお祭り気分はどこにもない。期待していたゲストもいない。曲順も何だか無作為のように感じる。感傷に耽るようなMCもない。とにかく、予定調和的に進行していく。クールに立ち振る舞う佐野さんが300M先にいる。

今回のライブは、まさにコロナ禍中に開催された。人数制限しかり、マスクの不着用・大声での声援・座席間の移動は原則禁止である。今回、コンサートにおけるニューノーマルをいみじくも体感することになった。ライブと言えば、熱気と興奮に喧騒である。拍手しか出来ない今回、どうなるものか、果たして盛り上がるのだろうか興味深かった。「さあ、ショーは始まったぜ!(佐野元春風)」、曲が終わった後の盛大な拍手、そして拍手が終わった後に訪れる一瞬の沈黙。「次に何が起こるのだろう?」、「次のイントロは、曲は?」五千人が一斉に静まるさまは、緊張とある種の敬虔さを感じさせた。

今回のイベントは、通常のメンバーにサポートメンバーを加えた、オーケストラに因んだグランド・ロッケストラがバッキングを務めた。各人が超絶技巧を持ったミュージシャンである。騒々しいライブではほとんど気にならなかった演奏が、今回は非常にクリアに聞こえる。凄腕ミュージシャン達が一丸となって奏でる音は共鳴しあい、城ホール全体に響鳴する。それがさらに増幅してグルーブを形成し高揚感を醸成していった。うまく例えられないが、松花堂弁当に日本酒ではなく、シャトーブリアンのパイ包み赤ワインソースに熟成されたワインと言ったところだろうか(あまりに陳腐な表現で笑笑)。とにかく重層的で骨太なのだ。佐野さんは何度も「みなさん一緒に歌ってください、、、心のなかで。」と我々に語りかけた。その都度、失笑がもれる。「分かっているよ、佐野さん、最初っから皆歌っているよ。」、聞こえる声援はなくても、上質な演奏と五千人の心の叫びに満ち溢れている芳醇かつ豊潤な一時である。

(追記)
あれから三週間が経った。僕は、新型コロナに感染しなかった。もちろん、コンサート主催者からクラスターが発生したという連絡は来ていない。今日から四都府県に緊急事態が発令された。発令の内容はほぼ変わらない。この一年で我々は何を学んできたのだろう。コンサート、スポーツ、あらゆるビジネスにおいて新型コロナ対策のために積み上げてきたものが政府の一声で一気に否定された。今日、僕はようやく新型ワクチンを接種できた。予定よりも約一ヶ月も遅れてだ。これは人災だ!!!と分かった。

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