ランボルギーニ・デイ・ジャパン2019(中編)
どうにかこうにかGLION MUSEUMにたどり着くことが出来た。先に到着していた今までに見たことがないランボルギーニ車の数々、レンガ倉庫に投影されたトリコロールカラーのイタリアの国旗、気分はもはやイタリアンである。駐車場から受付の通路沿いには、ミウラ、カウンタック、ウラッコなどの旧モデルや最近のワンオフモデルが並べられており、かつてのスーパーカー小僧の気分は否が応にも盛り上がった。受付を済ませ会場に入った。
ウェイターがウェルカムドリンクをトレーに持って待機していた。苦行難行を終えたからには祝杯である。昼(ご飯)抜き、ストレスによる喉の乾き、初めてのパーティへの参加。心身ともに開放されたので、赤みのかかったスパークリングワインを駆けつけ三杯飲んだ。会場では、ランボルギーニ車の室内で使われる皮革を使ったキーホルダー作成イベントも行われていた。しばしパーティ会場で寛いだ後、メイン会場に移動してのオープニングイベントである。パーティは歌舞伎の舞から始まった。圧倒的なライブ感に茫然自失する他なかった。後にその演者が片岡愛之助さんであることを知らされ、「なるほどな。」妙に納得した。次にアジア太平洋地域のCEOが登壇し、アヴェンタドールSVJ63ロードスター及び日本や歌舞伎から着想を受けたアヴェンタドールSVJロードスターJP63とウラカンEVOスパイダーJP63の三台がアンベールされた。昔からの顧客や熱心なオーナーからすれば凄いことなのかもしれないが、ランボルギーニ初心者にとっては周囲の興奮をよそに「ふーん。」全くもってピンとこなかった。そもそも買えないから食指も動かない。次に壇上に上がったのは、アウトモビリ・ランボルギーニCEOのステファノ・ドメニカリ氏である。トヨタ自動車で言うところの豊田章男社長である。流石に氏の名前くらいは知っていたので、ランボルギーニの日本市場への力の入れ込みよう、今回のイベントにかける意気込みが十二分に伝わってきた。通訳を介して、ランボルギーニ社の日本マーケットに対する熱い想いが語られた。
プレスカンファレンスの後は、食事と歓談である。下衆なことは重々承知しているが、今回のイベントに参加した一番の目的は「一体、どんな人々が来ているのだろう。」だった。後学のため社会勉強のため半分、怖いもの見たさ半分ってところである。このコラムを読まれている方もきっと興味津々だと思う。富裕層、イタリア車とイメージして浮かんだのは、細身のスーツにポケットチーフ、あるいは仕立ての良いツイードジャケットにデニム姿のオーナー像を描いていた。ところがだ、現実は全く違っていた。雑誌「LEON」に出てくるような「ちょい不良(わる)オヤジ」を探すのは困難だった。パーティにも関わらずブルゾンにトレーナー、足元はスニーカーとカジュアルな格好の方が案外多かった。確かに、パーティとは言えドレスコードはなく、堅苦しい格好に革靴でウラカンやアヴェンタドールに乗るのは煩雑なことは理解できる。しかしそうは言っても、ランボルギーニ社にとっては晴れの舞台である。「枯れ木も山の賑わい」ではないが、例え枯れ木でも少しの彩りを添えることは可能だと僕は感じていた。