院長のコラム

世界は凡人にあふれている

2020.07.26





三浦春馬君の訃報をネットニュースで見て自分の目を疑った。「同姓同名?三浦春馬って三浦春馬やったっけ?」動揺した。ニュースをクリックしたら春馬君の写真が出てきた。思わず、「三浦春馬亡くなったらしいで!」と家事をしていた妻に声を上げた。それは七月十八日土曜日の夕刻だった。

「なぜ?彼に何が起こったのか?」今でも合点がいかない。五十を過ぎたおっさんなので、俳優としての彼を見たのは「永遠の0」くらいだろうか。けれども、若手俳優のトップランナーで数多くのドラマや映画に出演していること、活躍の場を舞台まで広げていることくらいは知っていた。彼を身近に感じていたのは、やはりNHKの紀行番組「世界はほしいモノにあふれている」だった。圧倒的な存在感、それでいて透明感のある佇まい。実直な語り口、歌手JUJUとの絶妙な掛け合い、中年男性から見てもイケてる男に映っていた。

彼の訃報に際して思い出した人がいる。彼は、職業人として技術力はもちろん意識も高かった。経営者としても才覚を発揮し事業規模は増す一方だった。誰もが羨む地位と肩書、それに家や車、何もかもが順風満帆のように見えた。しかし、羨ましがられるが故に妬まれもした。誹謗中傷に悩んでいた。同世代として心配していた僕が彼に電話をかけたところ、例の件は解決の方向で進んでいることを聞いた。安堵するとともに、また近々食事に行くことを約束して電話を切った。電話の向こう側の彼は案外元気そうだった。しばらくして彼の訃報が届いた。茫然自失する他なかった。

万人が認める容姿と才能、あれだけ活躍していれば金銭的な心配もなかっただろう。三浦君はまだまだ若かった。年齢を経ることによる容姿の深み、弛みない努力、様々な人生経験、彼の未来には無限の可能性があったように思えた。僕の友人も同様である。彼らに一体何が起こったのか、分かっているのは本人だけで、残された我々は途方に暮れるだけだ。この世界が、彼等のように才能と能力があって少し繊細な人間が生き辛い世界なら、彼の番組ではないが「世界は凡人にあふれている」としか言いようがない。問題を起こした個人や団体に対する執拗なバッシング、スキャンダル有名人に対する完膚無きまでの誹謗中傷と人格攻撃、正義を大義名分としたネットリンチ、目を背けたくなる情報が溢れかえっている。「知らぬが仏」では済まされないほどの情報洪水の中で我々は、今を生きている。

莫大な借金に発達障害を持った息子、僕は死ぬに死ねない。乏しい才能と才覚でもって、細々と借金を返し続けて行かなければならない。そんな僕から見ると、彼等の死は残念で悔しい。とはいえ、まさに万死を恐れず、自死という不退転の選択をした彼等の決意を受け止めなければならない。死ぬこと以上の苦しみや悲しみ、痛みを抱えた彼等の宿命を肯定しなければならない。受け入れがたいが受け入れなければならない、「どうか安らかにおやすみください。」

長嶋雄一クリニックお問い合わせ

診療科目(内科・消化器科・胃腸科)
診察週

月・火

木・金
奇数週
(第1・3・5週)
8:00 ~ 16:00 8:00 ~ 16:00 8:00 ~ 15:00
偶数週
(第2・4週)
8:00 ~ 12:00
休診日︓第1・3・5週水曜日、第2・4週土曜日/ 祝・日曜日