院長のコラム

今さらドン・ファン

四月二十八日は休診の水曜日である。いつもより一時間も多く寝られる。しかも、翌日は昭和の日で二連休である。何処へ行くわけでもないが、心踊る火曜の夜だった。ところがだ、水曜朝七時、「ドン・ファン捕まった!」の妻の声で起こされた。「ドン・ファンはもう亡くなっているで」、内心ツッコミを入れつつ飛び起きた。やはりというか案の定、元妻が逮捕された。登場人物は三人、紀州のドン・ファン、元妻、家政婦しかいない。「ドン・ファン自らが覚醒剤に手を染めることはない。」短い付き合いだったが、そう僕は確信していた。故人を知っている方は皆、テレビの前でも同じように証言していた。そうならドン・ファン抜きの単独犯もしくは共犯、考えられるのは三通りしかない。

世間の耳目を集めた、和歌山県警の沽券に関わる事件である。カウントダウンに向けてボルテージは上がる一方だった。しかし、いつまで経ってもその瞬間が来ない。テンションは下がる一方である。一月、半年、一年が経過した頃には、お祭り騒ぎだった地元でさえ話題にのぼらなくなっていた。いつしか、「やっぱり、バカ山県警やな。」と揶揄する言葉が聞かれるようになり、「ドン・ファン(の件は)、事故か自殺だったんやな。」で終わる話になっていた。あれから三年、突然の容疑者逮捕である。「なんでなんで今頃。なんで三年もかかったん。今さらなんで。」、僕の心の中でリフレインが叫んだ。思わず小柳ルミ子の「今さらジロー」が浮かんだ。
♪今さらドン・ファン 罪だよドン・ファン あたしにとって
昔は昔… 今は今…
ルルララルルララ ルルラララ
シャボン玉だね 愛なんて♪

休みの朝なのに、ほぼ平日通りに起床した。ニュースを見た途端、嫌な予感がした。二時間後、雨模様にも関わらずヘリコプターが何機か上空を飛んでいる。朝七時時点ではごく少数だったネットニュースが、雨後の筍のごとくぞくぞくと湧いてくる。なのに、よくよく読めばどれも過去の焼き増しで新しい情報がない。しかも、当時は家政婦と呼ばれていた人がお手伝いさんという表現になっていて、「やっぱり犯人は若妻だった!」という論調になっていた。「いやいや、まだまだ犯人やないで、あくまでも容疑者やで。」、この三年間で学んだことだった。事件と関わりなく普通に生きていれば、逮捕者それがすなわち犯人だと思っていた。逮捕者が出れば、それがすなわち事件の終わりだと思い込んでいた。その後起訴されて裁判で争って、ようやく判決が下される。判決が下される頃には、誰もが事件のことは忘れている。「我々は目の前のゴシップで生きている。」、人間は本当に賢くなったのだろうか?

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