院長のコラム

介護における人材について 

悩みの種です。 

今夏、サービス付き高齢者向け住宅(以下 サ高住と略)と介護事業所をクリニック側に併設した。内視鏡専門医がなぜ介護事業に参入、と周囲から訝られている。医業経営が軌道に乗ったことや広い土地の有効利用、自分の年齢や今後の在り方、その他にも種々の要因が偶然にも重なりあった。クリニック開設当初、医療モールのようなことも朧気には考えていたので、偶然だが必然かもしれない。介護事業所が併設されたことによって、だだ広い散漫な土地の方向性が見えてきたような気がしている。

医療と介護は密接に結びついているが、全く別世界であることを知った。その最たるものが人材である。求人募集をすればそれなりに人は集まるのだが、より良い人材の確保が困難なのである。履歴書を見れば学歴や職歴で一目瞭然である。学歴よりもむしろ職歴に驚いた。転職を繰り返している人が何と多いことか。このため、前職が1年未満の人は書類選考で不採用とした。二次選考の面接でも、現職の給料が安い、労働条件がきつい、人間関係がうまくいかない等、否定的な意見が大半を占めた。当事業所への募集理由を聞いても、新しいから、夜勤がないと聞いたので等安易で面接人を納得させる意見を述べる人は少なかった。ましてや、自分の思い描く介護像を語る人などほとんどいなかった。四十人近い応募の半分は書類選考でふるいにかけ、二十人程度面接をして最終的にその半分を初期メンバーとした。

開設して3ヶ月になるが、第一歩を踏み出した後、そのまま立ち尽くしている状況で次の一歩を踏み出せないでいる。職員は相当焦っているが、この点は経営者としてあまり心配していない。クリニックで同じ経験をしているからだ。ホームページ開設当初の院長コラムを読み直すと、自分の思いと現状の乖離に相当苛立っているのが分かる。自分で自分を諭すような文面も散見される。それが年々、対前年を上回るような検査件数になり、今や自分が想像さえしなかった内視鏡検査をさせてもらっている。自分が建てた経営理念や経営行動をぶれずに一貫してきたから、と自負している。

残念ながら、すでに数名のスタッフが介護事業所から去って行った。人それぞれの事情や理由があるから引き止めをしないようにしている。残ったスタッフには、「仕事がなくて辛い時期ではあるけれども、半年先、一年後を見据えて頑張って行こう。」と鼓舞している。価値観を共有できるスタッフと、港を出て介護事業という大海原に今乗り出したところである。
スタッフ選考から今まで痛切に感じたのは、この業界本当に人材が大事であるということである。介護というある意味究極のサービス産業に、種々雑多な幅広い層の人間が集まっていることを実感した。そもそも社会人として問題のある人が集まるのか、職場環境が人間を変えるのか。高齢者施設での入居者虐待の報道も後が絶たない。時間に余裕のある今は、環境作りの時期でもあると考えている。経営者、事業所スタッフ、事業所利用者、オールウィンの関係が構築できるよう基礎固めの時期である、と日々自分に言い聞かせている。

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