令和六年 大相撲和歌山場所秋巡業
我が家の三男、太陽は重度の障害者。今年、支援学校を卒業して現在はB型作業所に通所している。言葉すら発することが出来ず、両親や支援者がいなければ日常生活を送ることは不可能。けれども、喋っていることは何となく理解出来ている模様。文字も少しは認識しているようで、You Tubeに文字を入力して種々の番組を楽しんでいる。重度の発達障害はあるものの健常人よりもリズム感は秀でていて、「太鼓の達人」は兄弟の中で一番。現在はドラムも習っている。楽譜を読めない太陽にリズムと実際に叩いて教えてくれる先生に感謝。携帯で撮った動画を友人・知人に見せると、「太陽くん、すごい!」皆から驚きの声があがる。
太陽は誰にも人懐っこく、祖父母も大好きな孫。休日、終日家に籠もりっきりでテレビの時間が長くなれば、気分転換に祖父母の家に連れて行くことも。もちろん、我々夫婦が用事の時は面倒をみてもらっている。その影響もあり、昨年くらいから帰宅すると大相撲本場所中はテレビ前に一目散。場所がない時は、You Tubeで取り組みをひたすら観ている。「Voice Helper」を用いて「だいえいしょう」とひたすら連呼していた時期があり、大栄翔関を応援しているかと思いきや、「おおのさと」、「いちやまもと」、「てるのふじ」なんて言葉も出るので、どうやら推し力士はいないようだ。
太陽の影響で、我々夫婦も五時からの幕内後半戦を見るようになった。慣れれば、あれだけ煩わしいと思えた様式が日本の伝統と作法として畏れ多いもののように感じられた。職業柄、あんこ型よりも若元春、平戸海、若隆景のような筋肉質な体型を好む傾向がある。顔つきは豊昇龍の「ドヤ顔」が一番。110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士には期待したいところだが、足首の細さがどうにも気になる。個人的イチオシは宇良。小兵に分類される体型にも関わらず、かつてレスリングに取り組んでいたこともあり、低い体勢で大兵に挑む姿は判官贔屓の日本人の性分にあっている。多彩な技にドキドキ・ワクワク、怪我をすることが多く賛否両論あるけれども、粘って諦めない姿勢には好感が持てる。
そんなこんなで十月二十日、日曜日、和歌山ビッグホエールで開催された「令和六年大相撲和歌山場所秋巡業」に行ってきた。前日は南紀田辺会が東京であり、当日朝は五時起床、朝一番の南紀白浜空港便でほぼとんぼ返り。休むまもなく和歌山市に車を走らせた。ビッグホエールは我々が想像した以上に人が多く、駐車場は満杯状態。当初、初参のため金に糸目をつけずにタマリ席やマス席を検討。しかし、知人の勧めで1階イス席Sを選択することに。障害がある太陽の姿勢保持やトイレの移動を考えれば納得。いつか行く本場所のため後学となった。巡業のためお披露目式の様相は免れなかったけれど、力士自身と両者がぶつかり合う迫力は十二分に伝わってきた。テレビ画面でしか観たことのない力士と相撲巡業に太陽も大満足。
この年齢になってとうとう、年寄りの三徴候、「朝ドラ」「大河(ドラマ)」「大相撲」を満たすことに。「まあ、それも人生。楽しみがまた一つ増えた!」と前向きに考えよう。