院長のコラム

作家気取り

本を出版することになった。自叙伝、回顧録形式になるとは言うものの、院長コラムがベースにあるからコピー&ペーストで行けると高をくくっていた。読み直すと、同じことを異なる語り口で書いていることが案外多かった。それに、コラムは人生の一部を切り取っているから断片的で、コラム同士の関連性や連続性に乏しい。点と点を結んで線に、線と線を結んで面に。それだけでは読み物として面白くないから、ユーモアと共感というスパイスを振りかけて立体物にしなければならない。もっと言えば、パズルを埋める作業。コラムというピースを並べるだけでは、一貫性がなく趣旨がつかめない。新たなピースを作って、人生記というパズルを穴埋めしていかなければならない。

出版社との初回オンライン会議の時、「口述筆記という方法もあります」の提案があった。出版を機に自分の書いたものを改めて一気読みしたら、独自の文体と文調、独特の言い回し、表現方法を持っていることが漠然と分かった。繊細さ、洗練や巧妙とはかけ離れた、雑で朴訥で等身大、それに裏表のないスタイル。それでも、伝えたい気持ちは十分に伝わってくる。口述したものが独自の文体になるかというと、否。ゴーストライターが書いたものを何度も手直しするくらいなら、自分で書いたほうが早いし自分らしい味が出る。結局、一から書き直している。当初は期日までに五千字の課題。文字数だと実感がわかない。原稿用紙にすると十二枚強、それくらいなら行けるだろうと二度の課題をクリア出来た。二度とも早い目に提出したから「出来る」と勘違いされたようで、「次回は三万文字でお願いします」の連絡。三週間でこの課題はさすがにひるんだ。

もともとが文筆家でもなければ作家でもない。クリニックに興味を持ってもらうため、ホームページをしっかり管理していることを明らかにするため、院長コラムを書き始めた。「趣味とは、自由時間に好んで習慣的に繰り返し行う行為、事柄やその対象のこと」らしい。ない知恵を絞り出し苦労しながらも、それが十五年以上継続しているのだから、ある意味趣味の領域に入っているのかもしれない。でも、所詮はアマチュア、学んだことも指導を受けたこともなくあくまでも無手勝流。近頃は、帰宅して机に向かい食事を食べて机に向かい、好きなドラマ鑑賞はままならず。少しお酒が入ったほうが邪念にとらわれず文字数が進む。文字数が進むとウィスキー量が増えるので要注意。親交ある画家の古畑さんは、「飲みながらでないと絵を描けません」と言うのが身にしみて分かった。三月末でどうにか半分以上をクリア出来た。あと三ヶ月で二万字、先は長いけれども、「この課題をクリアした時、どんな光景が見えるのだろう」今から楽しみだ。

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