倍返しといかなくても、
銀行なんて
前クールのドラマ「雲の階段」の余韻を引きずったままで、今クールのドラマはどれも見る気がしなかった。しかし、何人かから「『半沢直樹』一回見てみ。」と勧められた。日曜日午後九時と言えば手持ち無沙汰な時刻だったので、時間を持て余すくらいなら程度のつもりでチャンネルを付けてみた。ちょうど大阪編が終わって、東京編が始まる回だったようだ。
ドラマ「半沢直樹」を一言で言うなら痛快、どんなドラマと尋ねられたら勧善懲悪が適切だろう。初めて見ても、誰が善人で誰が悪人か直ぐ理解できた。これに男の友情、父を死に追いやった者への復讐、銀行内部の人間模様、主人公の前に立ちはだかる幾多の困難。幼い頃読んでいた少年ジャンプのキーワード、「友情」「努力」「勝利」が惜しげも無く散りばめられていた。
何よりも、ここ一番の主人公のセリフが良かった。時に快哉し、時に勇気づけられ、ある時には自分の今の有り様を問われているような辛辣なものまで、たくさんの名言・心に染み入るセリフがあった。中でも、銀行員である半沢自身が、「俺達は、所詮金貸しだ。」というセリフが一番腑に落ちた。
僕自身も銀行のことをそう思っている。家を建てようとした時、クリニックの開業を決意した時、金融機関から融資をお願いした。特に後者の場合、借入額が多かったので何行かに依頼した。社会的地位や亡き父の威光のお陰で、どの銀行も融資してくれそうだった。それなら話は簡単、金利の一番低いところを選択する方向で進めた。しかし、とある地銀が、何としても借りて欲しい、地元に根づいた銀行の情報力を利用してくれ、地元ならではのきめ細やかなサービスを提供する、と上司ともども日参するではないか。挙句の果てには支店長室に連れて行かれ、「先生のために特別な金利を用意しますよ。」と来た。「地元」「特別」と言う言葉に惑わされ、渋るもう一行を説得し二行から借り入れることにした。
ついでにもう一つ。借り入れの際、事業計画を立てなければならない。一日の患者数×一人あたりの医療単価がクリニックの収入である。とても簡単な話だが、その情報がない僕は、地銀にお願いして情報提供してもらった。比較的患者さんの多い診療所をひな形に、事業計画および返済計画を立てたが、その後、提供してもらった情報が如何に胡散臭かったか、知ることになる。
借りてもらえさえすればいい、という銀行の態度を骨の髄まで知らされた。融資してもらって以降、その担当とは会ったことがない。当時の上司も支店長も今はこの地域にいない、風の噂で聞いた。地元ならではのきめ細やかなサービス・情報は、未だかつて受けたことがない。
倍返しは出来ないが、いつかその銀行とのすべての取引を止めてやろう、と今から画策している。