院長のコラム

健康に過信は禁物(初めての受診(2))

十月三日(土)、四日(日)
偏頭痛とストレス、それに更年期障害、診断はついた。あとは対症療法と日にち薬だけである。頭痛時に痛み止め、それでも収まらなければ安定剤で様子をみることにした。土曜日は診療があった。痛みと言うほどでもないが、右眉辺りを中心とした違和感を覚えたため、頭痛薬を服用して内視鏡検査をこなした。夕刻には知人夫婦と宅飲み会を予定していた。飲めないほどの体調ではなかった。しかし、飲酒すると症状が悪化する傾向がある。事前に更に痛み止めを服用して会に臨んだ。気心の知れた会である、それなりに飲酒量は増えたが普段よりは随分少なめにしたつもりである。翌朝、前頭部に多少の全体的な頭重感を認めた。食事をして水分を多い目に摂取したが、時間が経るほど違和感が右目周囲にだけ残る。「単なる偏頭痛じゃないぞ。」と思いつつ、鎮痛剤の服用で症状がコントロールされるので様子を見ていた。

十月五日(月)
出勤して診療を開始してまもなく、右前頭部にピリッとした痛みを感じた。「これは絶対におかしい。」、その日は比較的予約検査は入っていなかった。直様痛み止めを服用し、、近隣の開業医に連絡をして診療終了後に頭部CT検査を依頼した。症状があって診療所を受診するのは久方ぶり、二十数年来である。発症して間もないこと、痛み止めで比較的痛みがコントロール出来ていることより悪性疾患ではないと確信していた。とはいえ、医療に例外はつきものである。非常に稀なことが自分に起こる可能性もないわけではない。医師として原因を知りたいという究明心が半分、万が一があった場合の不安感半分で受診した。連絡していたこともあり非常に速やかに対応してもらえた。CT検査を終え、親交のある先生から「長嶋君、副鼻腔炎やで。」と笑いながら伝えられた。通常空洞のため真っ黒に映るはずの右前頭洞が真っ白になっていた。もちろん、脳内には何もなかった。群発頭痛や三叉神経痛を疑っていたので、「なんだ、副鼻腔炎かあ。」何だか拍子抜けした。「十六日の飲み会までには治しておいてよ。」と抗生剤を処方された。すっかり気分は晴れた。

あれから約二週間、抗生剤の服用を開始してから二度と痛み止めを服用することはなくなった。何よりも、以前から脳ドックを受けたいと思っていたのでいい機会になった。当院は内視鏡検査が中心のクリニックである。「症状がないから大丈夫。」「私は健康だから。」と言って、胃バリウムや便潜血検査で陽性を指摘されても受診しない方がいる。そういう人の中に、症状が出現して受診した時にはすでに病気が進行していた、という人を何人も見てきた。ましてや、半年以上も前から自覚症状があるにも関わらず、仕事や家事を理由に受診を先延ばしにしてきた方の中に、絶望的な結果を見ることが年に数人はいる。健康に過信は禁物で、むしろ敏感なくらいの方がいい。健康管理はもちろん大切だが、何か異変を感じたらすぐに医療機関を受診するべきである。今回、自分の患者体験談を記すとともに、通常診療に起こっている悲劇を綴った。このコラムを読んでくれている方への教訓、警鐘になることを願うばかりである。

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