院長のコラム

僕が僕であるために

2010.12.26

四十にして立つ 
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先日開かれたカラオケ大会で歌おうと思っていた曲がある。尾崎豊の「シェリー」か、もしくは「僕が僕であるために」であった。自分が慣れ親しんだ曲で自身を奮い立たせる曲としては最適であったが、あまりに本気すぎてThe Blue Heartsの「ロクデナシ」を選んだ。こちらは、歌詞がシンプルでかつとにかく勢いある曲調で、カラオケ大会にはうってつけだった。

医者になって7年目の頃、派遣地からたしか人事のことで教授に面談に伺った。その際どうしてそのような話の流れになったのか、教授から「君は青いね。」と言われたことを強烈に憶えている。額面通りにとるなら、もう少し大人になりなさい、ものの道理をもう少し理解しなさい、ということであったのだろう。まだ、それこそ青かったので、「分かりました、努力します。」と答えてはみたものの、何をどうしたらいいのか全く分からなかった。
医者になって12年目の頃、当時の上司から「君はエキセントリックだから。」と言われた。組織になじめないはみだし者、という意味であったのだろう。大学からの派遣が打ち切られ一人で消化器内科を切り盛りしていたので、「一匹オオカミのように映るのかな、そんなつもりはないけれども忙しいからそういわれても仕方ないな。」と思いつつも、自分がまだまだ未熟な人間なのだろう、と少し思い悩んだ。

先日、医師会の大御所先生から「君は目立つようなことをせず地道にやったらもっと評価されるよ。」と言われた。この先生はおそらく老婆心からアドバイスしてくれたのだろう。しかし、ふと疑問に思った。この先生は自分の息子に対しても同じようにアドバイスするのだろうか。自分なら息子に対して、枠にはまろうとするな、もっともっと羽ばたけ、人と同じことをするな、自分の信じた道を歩め、とアドバイスするだろうし実際している。
今までのような勤務医とは異なり、今は独立独歩している一経営者である。医師会が僕を助けてくれる訳でもなく、僕に評価を下すのは患者さんのみである。さすがにこちらも「先生、これが僕の性分なので仕方がないですよ。」と切り返した。その場に居た僕を知ってくれている方(田辺市のお偉いさんです)が「長嶋先生はなかなか人気がありますよ。」とフォローしてくれた。

独立する前までは、青くて未熟でエキセントリックな目立ちたがり屋、な自分が何となく嫌だった。なぜ自分はこうなのだろう、どうすれば周りとうまくとけ込むことができるのだろうか、思い悩んだこともある。しかし、独立してからは、ようやくこれが個性だということを得心した。これまでの道のりは長かったが、自分らしさ、僕が僕であるということにようやく自信を持てるようになった。医師の経歴としては珍しい医局の渡り鳥人生も、見方によれば組織になじめない証左になるが、今の自分にとってはその歩みが血となり骨となり医師としてのアイデンティティーの確立に相当役立っている。
自我の覚醒が自信に繋がっているのか、よく食事に行く仲間も同業者より異業種の方が多く、兎角敷居が高く接しにくいと言われる職業であるが、先生、先生とまるで教え子が教師に慕ってくるかのように接して来てくれる方が多くなった(ような気がする)。開業医としても御陰さまで、患者数、検査件数ともに徐々に増えて来ている。
僕の好きだった尾崎豊の、その中でも特に好きな曲「僕が僕であるために」を口ずさむことが最近多くなった。自身を励まし勇気づけ前向きにさせてくれる曲である。迷った時、悩んだ時考えることは、僕が僕であることを基本にしている。最近も苦渋の決断をせざるを得ない状況になった。あれこれ考え眠れない日が続いたが、僕が僕らしくあること、原点回帰すれば視界が澄みわたるかのように判断に迷うことはなくなった。これからも、ますますもっともっと、尾崎豊の「僕が僕であるために」を口ずさむことが多くなるのだろう。

♪僕が僕であるために
勝ち続けなきゃならない
正しいものは何なのか
それがこの胸に解るまで
僕は街にのまれて 少し心許しながら
この冷たい街の風に歌い続けてる♪
(歌詞から一部抜粋)

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