院長のコラム

元の木阿弥

今年になって、院長コラムは新型コロナウィルス関連ばかりになっている。書いていてもつまらなく、気が滅入るばかりである。とはいえ、書くネタも特段にない。和歌山県からは、緊急事態宣言対象区域への不要不急の往来を控えるよう勧告が出ている。ショップから商品入荷、カー・ディーラーから試乗案内が届く。「行ってみようかな?」、妻に相談しても厳しい視線を向けられるだけである。自粛警察は一番身近にいる。「万が一があったらどうするの?」と詰問される。「万が一って、一万分の一やろ。そのために九千九百九十九を犠牲にするんか!」、科学者である僕は内心思うが、感情論者と話をしても埒が明かない。科学的、現実的、冷静に話を出来ない状況が続いている。

首都圏に一月七日、関西で十三日に緊急事態宣言が再度発出された。二月二日には、三月七日まで一ヶ月間延長されることが決定した。昨年末にやや持ち直してきた内視鏡検査件数は、緊急事態宣言の発出と時を同じくして減少の一途をたどっている。当院は予約主体のクリニックなので、外来患者および検査が終われば否が応でも診療を終了せざるを得ない。待てども暮せども患者が来ないからだ。他業種なら外に出てお客さんを呼び込んだり、DMを書いて宣伝することも可能である。しかし、保険診療上それらの行為は厳禁である。一回目の緊急事態宣言時には開店休業状態に戸惑った。しかし、二回目は手慣れたものである。検査終了後、しばらく電話の問い合わせがないことを確認して、留守番電話で対応可能にして診療を早い目に切り上げている。女性が多い職場なので、職場で手持ち無沙汰なら家事ですることは山ほどあるだろう。僕は僕で、健康維持とストレス発散のため泳ぎに行くようにしている。衰えた気力、体力を取り戻す絶好の機会である。流石に、週五日行った際には相当不安になったが。

コロナ禍により医療のあり方も問われているように実感している。コロナ患者を受け入れるほど経営が悪化し、負のスパイラルに陥ることが明らかになった。今後も、新しい感染症が何時起きてもおかしくない。今回の事例を教訓に、診療体制の構築および支援体制について国民的議論を今からでも遅くない、するべきである。その一方、我々のように新型コロナ患者を受け入れていない診療所の減収に対しても、「地域医療崩壊」という金科玉条の名のもと、日本医師会や日本病院協会などから支援要請が厚生労働省に行われたようだ。これに対して、僕自身は否定的である。独立起業した以上、倒産は覚悟の上である。それが医療だからというのは道理が通らない。おこがましいとさえ感じている。僕が今回の感染症で身に沁みて感じたことは、当院が不要不急の診療所であったことである。この状況が続く以上、他のサービス産業同様、粛々と経費削減を始めとした営業努力をするほかない。万が一倒産に至ったとしても、有り難いことに国家資格がある。勤務医に戻ることだって出来る。

深刻なことばかりを書いているようだが、案外本人は安穏としている。今回の出来事は何も僕ばかりだけではない。忙しい時には忙しいことを、暇な時は暇を楽しむ心の余裕が大事である。元の木阿弥、開業した頃に戻ったと考えれば、あの頃よりも今の方が何倍もましである。冬来たりなば春遠からじ、クリニック周辺の梅の木々にも花が咲き始めた。

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