院長のコラム

先見の明


COVID-19感染拡大により飲食業や観光産業は大打撃を受けた。アパレル業界もご多分に漏れず、壊滅的なダメージを受けた。老舗レナウンは民事再生手続きを開始し、業界を代表するオンワードホールディングスと三陽商会の連結決算は赤字に陥った。ファストファションの雄、ザラやH&Mも苦境に立たされている。新型コロナの影響がいつまで続くか読めない状況で、不採算店舗の閉鎖を急いでいる。

今回のコロナ禍の中、僕がこよなく愛するヨウジヤマモトは大丈夫か、二度目の民事再生手続きを申請しないか、懸念していた。ヨウジヤマモト社は2011年から、若い世代や店舗がない地域でも購入できるようにとS’YTE(サイト)というブランドを立ち上げ、EC(電子商取引)をいち早く導入していた。2018年にはオフィシャルECサイトをリニューアルし、同社が手掛けるブランド、グランド・ワイやワイズ等の商品もラインナップしネット販売にも注力していた。COVID-19の影響が空前絶後と認識され始めた頃、七都道府県そして全国に非常事態宣言される少し前、シグネチャーブランドであるヨウジヤマモトとヨウジヤマモトオムを含むブランド全ラインのEC取り扱いを開始した。しかも、三万円以上購入した場合一万円のクーポンが付与されるとのこと。コレクションラインのネット販売、しかも一万円とはいえ春夏シーズン真っ只中での値引き販売に、「ヨウジ社、ほんま大丈夫か?」ずっと危惧していた。その後のことは、周知の通りである。日本全国に一ヶ月強、自粛の嵐が吹き荒れた。この嵐は特に、製造業とサービス業に計り知れない打撃を及ぼした。

外出出来ない。店舗は休業している。なのに季節だけは移ろい、春の日差しは衣替えを誘う。会員登録しているヨウジ社のECから頻繁にメールが届く。覗いて見たら案外売れているようで、妻がヨウジ本店で購入したドレスもECで販売され、ほどなくして売り切れになっていた。「わざわざ店舗まで出向いたのに、しかもネットで購入したらクーポン券も使えて少しは安く購入できたのに。」と妻は臍を噛んでいた。「まあまあ、ヨウジの服の難しいところは着てみないと雰囲気が分からんから、しゃーないで(仕方がない)。」と慰めるほかなかった。新型コロナ感染症が落ち着いた頃、再開したヨウジの店舗に電話をかけてみた。休業期間中スタッフはずっと自宅待機と思いきや、「EC販売の商品移動のため何やかや出勤していましたよ。」との返事。実店舗販売出来なかった時期、ネット販売で補完出来たことは、他のどのブランドよりもアドバンテージがあったと推察する。日本を代表するブランド、イッセイミヤケやコムデギャルソンはどうだったのだろう。そんな心配をしていた矢先、イッセイミヤケが、来年入社予定だった学生の内定を取り消したこと、立ち上げから四十二年続いたイッセイミヤケメンのブランドを休止するという衝撃的なニュースが飛び込んできた。

デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉がある。この時代のキーワードである。その名の通り、デジタルによる変革を意味する。アパレル業界においては、「リアル店舗とネットの融合」と言ったところか。かつては放漫経営で民事再生手続きをしたヨウジ社が、この時代、DXの先駆者でかつ成功を収めた?(詳細は分からない)のは何だか不思議な気分である。先見の明があったとしか言いようがない。とはいえ、ファッションショーを開催してバイヤーに販売すると言った形態が困難な現在、ブランドの試行錯誤、暗中模索がしばらく続く。これはヨウジ社に限ったことだけではなく、アパレル業界全体に言えることである。COVID-19は、今までの価値観や経験をぶっ壊した。

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