内視鏡の話(3)
生活ニュース9/14号から
Q3.大腸の検査は大変なのですか?
よく聞かれる質問ですが、正直「そうらしいですね。」としか答えようがありません。私自身が検査を受けたことがないからです。現在もそうですが(水曜日の午後から出張しています)、開業前の約1年間県下各地の公立病院に内視鏡専門医として勤務しましたが、依頼されるのは主に大腸内視鏡検査もしくは内視鏡治療でした。なぜ、大腸検査が大変なのか。大きく分けて2つ、患者さん側の要因と医師側の要因が考えられます。
患者さん側の要因として、個々の大腸の形態と腹部手術歴の有無があります。人それぞれ顔形が異なるように大腸の形態も千差万別です。日本人は元来繊維質に富んだ食事を多く摂取してきたためなのか、あるいは日本人としての遺伝なのか、特に女性に腸が長くて大きく弛緩している(たるんでいる)方が多いような印象があります(このような方は挿入に相当苦労します)。それに加えて虫垂炎や胃潰瘍等の腹部手術を受けた方はお腹の中に癒着があるため、内視鏡挿入時に癒着部が引っ張られ痛みを感じるようです(特に子宮・卵巣関係の手術をしている方は困難なことが多いです)。
医師側の要因としては、技術の差が大きく見られるのが大腸検査になります。胃の検査のように一本調子で押し込めば入っていくという訳にはいきません。後輩には「大腸検査は恋愛と同じで、押すところは押して引くところは引かなきゃ。」と教えています。学んできた施設や経験に加えて、持ち前のセンスやちょっとした工夫・コツといった職人技が要求されるのが大腸検査なのです。
Q4.大腸の検査を楽にしてもらいたいのですが?麻酔を使ってもらえますか?
当院では基本的に静脈麻酔を用いて検査をしていません。3つ理由があり、1つ目は体位変換(横向きになったり、仰向けになったり)が挿入に有効であること(麻酔をしていると動けなくなるからです)、2つ目は痛みに対して鈍感になるため痛みを訴えた時には腸に穴が開いているといった事例が報告されているためです。3つ目は、当院では日帰り大腸ポリープ切除術をしているので、眠っていると切除する際同意が得られないからです。
Q5.費用はいくらぐらいかかりますか?
生検の個数で異なりますが、3割負担の方で大体6500~23000円程度の自己負担になります。日帰りポリープ切除術の場合は、22000~27500円となります。
Q6.大腸癌はやはり増えてきていますか?
当院では、胃癌よりも大腸癌の頻度が圧倒的に多いです(6倍以上)。絶対数が増えているのも確かですが、大腸癌は内視鏡で切除できるものから外科的な切除が必要なものまで幅広く存在するからです。もう一つ、大腸癌と関連のある病気に潰瘍性大腸炎という難病があります。こちらも増加しており、当院には累計18人程患者さんがいますが、以前の病院からの継続は1/3程度で、1/4が他所の病院から、残りが新規申請者です。
大腸検査は、検査をする先生とよく相談してから検査を受けることをお勧めします。また、受けた後は何処まで挿入したのかを聞いておいてください。時々、他所の病院で検査を受けてまもなく来院される方がいるのですが、盲腸までしっかり観察して異常がなければ1年に1度検査を受けなくてもいいのが大腸内視鏡検査なのです。