院長のコラム

医師の矜持(前編)

「演出側の人間として、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういうふうに作りますよ。政治的意図がにおわないように、製作者としては考えますよ。」、某放送局モーニングショーのコメンテーターのかつての発言。政権に対して啖呵を切ったつもりが墓穴を掘ることに。それどころか、テレビ局の報道姿勢を暴露するはめになってしまった。かねてから情報や報道番組に対して疑念を抱いていたので、この発言はすっと腑に落ちた。以来、夜のニュースは時事を確認するだけ。詳しく知りたければ、保守系のyou tubeチャンネルをチェックしている。TVの報道は、公平・公正を謳いながらある種の政治的意図を持って放送されているから。

先日、その保守系you tubeを見ていたら、横浜副流煙裁判なる動画に出くわした。集合住宅2階に住む住人が階下の住人に対して、受動喫煙による4500万円の損害賠償を求めた裁判。額面通りに受け取れば、階下のヘビースモーカーの被告がベランダで吸っていたタバコの煙で階上の原告に健康被害を及ぼした裁判と考えるところ。しかし、実はトンデモ裁判だったことが判明し、原告側の請求は棄却された。しかも、請求の根拠となる医師の診断書そのものが言語道断たるものであり、その診断を下した医師が日本禁煙学会理事長だったことも問題視されている(詳細は割愛)。案の定一審では、診断した医師が医師法20条に違反していることが明記されている。それくらい医師の診断書の効力は絶大で、金科玉条、伝家の宝刀的意味合いが強く、それ故、これを乱用することは医師として罪に問われる不法行為とみなされてもおかしくない。

内視鏡治療を積極的に取り入れている当院では、多数の診断書を作成している。しかし、場合によっては作成を拒否することがある。一例を挙げてみる。検査を行い診断し、治療法と今後の方針を説明して経過観察となった患者さんから、後日、休業補償給付のための診断書作成を依頼されたことがあった。受診時、病気と業務の因果関係について終始何の相談もなく、したがって治療の一環としての休職も勧めなかった。なのに、休業とはこれ如何に?要は、自己判断で勝手に休職したものに医師のお墨付きが欲しいということであった。カルテ記載と一致しない診断書作成は公文書偽造になる。事情を説明して作成をお断りした。診察後、相談や医療的指示の要求があったなら、この限りではなかったことを付け加えておく。医師の診断書は、社会的に実効性の高い証明書であることを改めて自覚した。日頃からそう肝に銘じているつもりだが、必ずしもそうとは限らない事例に直面することが多々ある。(つづく)

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