院長のコラム

十五年目の真実(前編)

前回2010年の抜け落ちたコラムを再掲した。あれから十五年経過し、答えは出てしまっていた。これを機に答え合わせをしようと思う。

「母上様、僕はあなたが思い描いたような生き方をしていますか?」
当初、苦戦した開業は右肩上がりに順調に推移。検査件数は、九年目にピークを迎えてしばらくプラトー状態を保ち、コロナ禍により現在は下降傾向。知力・体力ともに落ちて来ているから妥当と言えば妥当な検査件数。と言いながら、もう少し頑張れるように感じている。想定以上のクリニック経営により、サービス付き高齢者向け住宅とデイサービスを併設することも出来た。こちらも開設当時は苦境に立たされたけれど、今や着実に推移している。高齢化が進む我が国で、この十五年で医療と介護の一体的なサービスを提供する体制を構築できた。まだ道半ばとは言え、両親が目論んで頓挫した経営の多角化を実現したことになる。家督を継げなかった不肖の長男なりに、両親が叶えられなかった願望を成就出来たように考えている。そういう点で、評価判定は「秀」としても良いのでは。どうですか、母上様。

「母上様、僕の家族はいかがですか、子育てはきちんと出来ていますか?」
自身が開業医の長男という周囲の期待と無言の圧力にもがいた学生時代を過ごした。したがって、自分の子供達に「医者になりなさい!」なんてプレッシャーをかけたくなかった。クリニック名を自分の名前にした理由の一つがここにある。「自分が何をしたいのか」早く見極める、自立・自律心を涵養する、「人生は点数だけではないよ」勉強以外に生きていく術があることを知って欲しいという願いで進学させたのが中高一貫全寮制の男子校「海陽学園」。海陽学園の環境のもと、「親の心、子知らず」なのか「子は親の背中を見て育つ」のか、どうしたことか長男・次男ともに二浪の末、国公立医学部に滑り込めた。
長女には、「男女関係の諍いで余計な時間を取らせたくない」の一心で進学させたのが中高一貫の女子校。兄二人と異なったのは自宅通学。男女関係の諍いの前に、往復三時間の通学に参ってしまった。一度狂った歯車を元に戻すのは難しい。特に高校時代、両親に逆らい続け、私立薬科大学の現役合格を勝ち取ったにも関わらず、「医療関係には進みたくない」と浪人を選んだ娘。何の因果か、紆余曲折を経て長女まで私立医科大学に進学することに。僕の意に反して、同じ道に進んだ三人の子供達。帰省時には、障害ある三男・太陽の面倒を三人ともよく見てくれているから、障害に対する理解度も通常より深い。子育てにおいても、評価判定は「秀」としても良いのでは。どうですか、母上様。

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