院長のコラム

十五年目の真実(最終回)

開業時、更新されないままの同業者のホームページを見て、「更新しないなら、いっそホームページ自体を無くせばいいのに」と感じたもの。同業者目線は言わずもがな、この時代の患者目線でも「患者ファースト」から隔たっている。この問題の解決法として「院長コラム」を始めた。あれから十七年の月日が経った。まさか、この場で人生の答え合わせをするとは思いもしなかった。しかも、自費出版するまでになろうとは。

「母上様、僕はもっともっと大きくなれますか?」
「大きくなる」を「経営者」と「親」、二つの視点から捉えてみようと思う。先ずは「経営者」視点。両親が雇用したスタッフは最大二十数人。僕が雇用したスタッフは四名から始まり、今や四十数名に。雇用人数だけ見れば、思いも寄らないほど僕は大きくなった。なら、経営者として金銭的に成功したかと問われれば分からない。かつて、日本では高額納税者番付が公示されていて、父は地域の一位になったことがある。そうかと言って、父の愛車はトヨタ・カローラ、贅沢で華美な生活を送った記憶はまったくなく、相続時も名品・逸品などなかった。自身は、クリニック経営単独なら想定以上だった。介護関連事業に進出したことにより莫大な借金を背負うことに。開業来少しずつ贅沢できるようになり、ワンランク上の世界を垣間見ることが出来るようになった。しかし、そこにもさらなる階層があることを知った。成功したかどうか分からない。ただ、現在の生活に十分満足していることは確か。
次に「親」視線。二人の子供が成人する前に、僕の母はこの世から旅立った。兄弟二人とも医師になる姿を見ぬまま逝った。僕には四人の子供、三人は成人、一人は来年成人式を迎える。夫婦ともにお陰様で健在、今春、医師として三人目を社会に送り出すことが出来た。「迷った時、悩んだ時、行き詰まった時、星に話さなくてもLINEがあるさ」、そう言ってこれからも見続けようと思う。内容や過程はともかく、結果として三人の子供を医師にすることが出来た。優秀な子供に恵まれたのか、はたまた親の教育法が良かったのか。親の背中を見て育ったのか、反面教師としたのか。何れにしても、母上様がなし得なかったことを才能なき僕が出来た。だから、これも評価判定は「優」。どうですか、母上様。

自費出版することになり読み返した自分のコラム。「あれ?」思い入れのあるコラムが抜け落ちていたことが判明。再掲したことにより、十五年の時を振り返る機会を得た。成功したかどうか、正しいのか間違っていたのか、分からない。ただ言えることは、「両親に恥じる生き方をしなかった」ことだけ。(おわり)

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