原点回帰〜北海道旅行〜(1)
一昨年末に決意した我が家の2023年末小旅行。高齢の義父母と我が家が一堂に会して旅行できる機会はもうほんの僅か。今回、次男は年明け早々の国家試験のため欠席。無事国家試験に通り社会人となれば、24年末の家族旅行は不可能。24年末は、長女も国家試験のためおそらく欠席。となると、今回が大勢で行くことの出来る最後の家族旅行になるかもしれない。「多少の困難はあっても、行(生)ける時に行く!」が近年の我が家の家訓。いつもなら妻と娘に行き先を任せるのだが、今回は自分の希望を二つ伝えた。「冬の北海道に岩内でお願い!」と。
真冬の北海道と岩内と僕、理由は三つ。社会人になった25歳からの7年間を北海道で過ごした。北海道を離れて以降、夏に何度か家族旅行をしたけれど、冬に関しては「極寒」、「雪道の運転」が意欲をどうしても削いだ。契機は一昨年末の東北旅行。雪中の東北自動車道の運転が想像していたよりも容易だった。かつて、真冬の稲穂峠(共和町と仁木町の境)をゴルフIIIカブリオレで疾走していた記憶が蘇った。自分の中で禁忌と思っていた冬の北海道旅行が、現実味を帯びたのが一つ目の理由。二つ目は、南国育ちの義父母にもう一度雪国を経験させたいという思い。二人ともまだまだ元気とはいえ、雪道を歩くにはそこそこの脚力が求められる。足腰がしっかりしている現在が最後のチャンスかもしれない。三つ目は、自分を育ててくれた岩内を表敬訪問したいというかねてからの願い。たった二年の派遣だったけれど、臨床医として内視鏡医として、岩内協会病院での研鑽が今の自分に繋がっている。「あれから四半世紀、岩内はどうなっているのだろう?」、齢を経る度に思いが募っていた。
自分の希望だけ伝え、2泊3日の旅程は妻子に丸投げ。1泊目は占冠(トマム)村にある星野リゾート、2日目は岩内経由の登別温泉と聞かされた。すっかり道内の土地勘に疎くなった今、このツアーが、道央を東西南北縦横無尽に移動する強行軍であることを知る由はなかった。12月28日木曜日、早朝に自宅を出発して、いつものように大阪国際空港から新千歳空港へ。ドル箱路線だけに、いつもより大きな機体だった。搭乗時間は2時間弱、今回の道内での相棒はトヨタ新型VOXY。オプションてんこ盛りのそのクルマにはApple CarPlayも装備されていたから、専属運転手思いのチョイスに感謝。年末の北海道は案外積雪が少なく、構えることなく占冠にクルマを走らせた。
今回、トマム星野リゾートを選んだ理由はおそらく二つ。三十年ほど前の冬、ここにある安藤忠雄さんが手掛けた「水の教会」で我々夫婦は結婚式を挙げた。「これからの人生を二人で歩んでいくことを決意した以上、その始まりの結婚式は自らの力で行うもの(もちろん新婚旅行も)!」という信念で、二人だけで挙式することにした。「流石にそれでは素っ気ない!」ということになり、新郎側は伯母と従姉妹が、新婦側は義父母が自腹で列席してくれた。だから、冬の「水の教会」は結婚式以来になる。