原点回帰〜北海道旅行〜(4)「ここは日本か?」
岩内から登別までの2時間、半分が国道残り半分が高速道路。国道は4:6で海岸線:内陸の割合。海岸線は積雪がなく快適にクルマを走らせることが出来た。困惑したのは内陸部の走行。一見積雪しているようでアイスバーンになっていて、最新のクルマの安全装備に何度も助けられた。南国に住んでいれば、横滑り防止装置やアンチロック・ブレーキ・システムの恩恵に与ることなどまずない。たった30分車を走らせただけで世界が一変する光景に自然の厳しさを知らしめられた。再び海岸線に出て高速に乗ればいつも通りの快適運転。昔あったコピー「でっかいどぉ、北海道」ではないけれど、北海道の底しれない大きさに改めて感嘆した。
我々の家族旅行は人数が多いだけにコスパ重視。寝て温泉があれば十分、食もビュッフェスタイルで大満足。妻子が選んだのは登別温泉「石水亭」。朝夕のバイキングは価格をみれば納得の内容。圧巻は空中大浴場と露天風呂で、硫黄臭の漂う独特の泉質は疲労した体に染み込んでくる感じがして、「カラスの行水」と称される僕でもいつもより入浴できた。翌日は娘に行き先を任せ、登別地獄谷からクマ牧場へ。檻の中のクマは愛嬌があって微笑ましかったけれど、2023年は過去最悪のクマ被害人数。視点を変えれば、鋭い爪に体の大きさの割に俊敏な動きは人間にとって相当脅威だ。「クマ牧場のクマは飼育員を襲わないのだろうか?」ふと思った。登別を後にして、支笏湖畔を散策して新千歳空港へ。夕刻のフライト時間のため腹ごしらえとなったが、年末の千歳空港は人で溢れかえっていて飲食店はどこもかしこも一杯。七人一堂に入店できる店とチョイスしたのは北海道で有名な松尾ジンギスカン。ある意味最も北海道らしい料理を旅行の最後に、しかも二十数年ぶりに食した。独特の鍋で焼く羊肉は案外胃もたれせず、タレの染み込んだ締めのうどんは絶品だった。北海道旅行を締めるにも最適な最後の晩餐になった。新千歳から伊丹空港、伊丹からクルマで自宅に着いたのは30日の午後10時半。何とも慌ただしい年末弾丸ツアーは滞りなく無事終わった。新年二日の羽田空港での事故は他人事と思えなかった。
今回の北海道旅行、ホテル・旅館、そして観光地、どこもかしこも外国人で、「ここは本当に日本?」と訝しむくらい多かった。一昨年の東北旅行と様相が全く異なっていた。新型コロナ感染症が落ち着いて渡航者が増えたからだろうか、それとも北海道という日本でもある種特異な地域性によるものなのか。高齢化に人口減少と国力の衰退している我が国で、成長が期待できる数少ない分野が観光。外国人で賑わう北海道で、円安の功罪の功を、そして今後の日本のあり方を垣間見たような気がした。それは、高齢化が顕著な我が県にとっても重要な課題である。