叶
昨年を振り返って
昨年末友人と飲んでいて、「1年を振り返って、一言で表すならどんな年になりましたか。僕は忙しくてあっという間に過ぎたので、『早』ですが。」と質問された。考えあぐねているうちに仲間が全員集まり、この話はそれっきりになってしまった。この年末年始にゆっくり考えてみた。印象深い三つの出来事を総合的に考えれば、夢が叶うで「叶」にしたい。
一つは、ミュージシャンの杉真理さんに出会えたことである。コンサートの主催者として招聘できたことである。社会的立場や責任、お金だけでは招くことはできなかったと思う。元IT企業社長は「何でもお金で買える」と豪語したが、周囲誰もが認める実績と環境づくりをした上で行動を起こさないと、必要以上の反発を買うのは必至である。積み重ねた年齢や経験に加えて、何よりも機会や人と人との御縁があった。今振り返ると、そうなる運命だったと感じている。
二つ目は、これも長年の夢であった東南アジア旅行に行けたことである。随筆で読んだ、映画で観た憧れのホテルの夢のようなスイートルーム。このホテルの存在を知ったのが二十歳前後なので、30年来の夢が叶ったことになる。カード会社から送られてくる雑誌をたまたまながら読みしていたら、ある記事が目に飛び込んできた。いつもなら、読みもせずゴミ箱行きの雑誌である。これもお金だけでは叶えられるものではなく、いくつもの偶然とタイミングが絶妙に合った。今振り返っても、運命としかいいようがない。
家を買う、車を買う、服を買うなどのように即物的に夢を叶えることもあれば、ふと脳裏に刻まれたことが偶然の機会に浮かんできて、さらに偶然が共振して叶えられる夢があることを昨年初めて経験した。ここまで条件が整えば、もはや必然と言えるかもしれないが、何気ない日常に将来の夢が散らばっていることを体験した。
最後は、夢が叶うというほどの大層なものではないが、開院来の検査件数をさせていただいたことである。質より量、内容より態度というぞんざいな気持ちは毛頭ない。また、その逆を言えるほどの実力があるかと問われれば躊躇せざるを得ない。開院して6年でプラトーに達したと考えていた検査数が、昨年はブレイクスルーした。原因がよく分からないので正面きって自慢できることではないが、評価していただいているものと客観的に考え慢心せずに取り組んで行こうと決意している。
というのも、ある程度の年齢と経験を経た開業医は、日常診療や業務に忙殺され惰性に陥りがちになる。しかし、検査をさせていただければいただくほど技術は向上する。新たな発見があるし、経験の中から学ぶことも多い。昨年は、開院初年度から考えると夢のような検査数をさせていただいた。これで満足する訳ではないが、ある意味夢が叶った年である。
今年は歳男である。昨年から構想していたことが具体化する年でもある。駄馬となるか駿馬となるか、転けてしまうか更に飛躍できるか、正念場の年になりそである。