君の名は、ローマ
朝の数分、クルマ関係のネット情報を見るのがルーチンワークになっている。ある朝、何気なく見ていたら衝撃的な画像にぶち当たった。その時の印象をたった一言で言うなら、「エレガント!」である。フェラーリに精通している訳ではないが(ほぼド素人)、瞬間的に「365GTB/4(通称デイトナ)が現在に蘇った。」と感じた。もっと言うなら、「現代版、トヨタ2000GTだ!」と奮い立った。エアロダイナミクスを考慮したこれ見よがしの開口部、大げさなキャラクターラインは何処にも見られない。僕が好きなマツダの「魂動デザイン」に相通じるエモーショナルな造形美。まるで人体の曲線美を表現したような生命感みなぎる豊潤なデザイン。無知にも関わらず、「フェラーリはこうでなきゃ(全くの私見)。」快哉を叫んだ。
その名は「ローマ」、「名は体を表す」とはよく言ったもので、車名からして情緒的だ。ローマは言わずもがなイタリアの首都で、ファッション、アート、カルチャー、宗教、建築をリードする誰もが知る有名な大都市である。その街由来のネーミング。しかも、フェデリコ・フェリーニ監督の映画「ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)」からインスパイアされたという。したがって、コンセプトは「LA NUOVA DOLCE VITA(新しい甘い生活)」、旧き良き時代のローマでの生活を現代によみがえらせ、新しい時代の人生の楽しみ方を提案する、だそうだ。日常使いできるフェラーリということで、2+2のグランドツアラーである。イタリア本国で発表されたのは2019年11月中旬だった。「欲し〜いっ!」とは思ったが、その年の夏にウルスが納車されたばかりで購入なんて現実的には不可能だった。その数カ月後、中国武漢で原因不明の肺炎患者の報告が話題にのぼった。その後、その感染症がCOVID-19としてパンデミックを引き起こすとは夢にも思わなかった。
日本でのローマの発表は、翌年の4月だった。折しも、第一回目の緊急事態宣言が発出された時期に重なる。不要不急の外出制限、県をまたいでの往来制限、外食制限、食料品以外の店舗の営業制限、すべてにおいて自粛・制限の春だったことを鮮明に覚えている。コロナ禍により収入が激減し、自院をどう維持するか思案していた時期でもある。何も出来ず自宅に巣籠っていた黄金週間、仕方がないからローマ関連の情報を調べ尽くした。フェラーリは契約してから最低でも2年の納期、顧客優先で新規客は後回し、オプションをてんこ盛りにしないと(生産が)後回し等々、一見さんにはかなり敷居が高そうだ。以前、ショールームを訪れたが声さえかけてくれず、ディーラーの印象も最悪だった。初見で口利きしてくれる人がいない不安、殿様商売に対する抵抗感はあった。しかし、クルマの美しさは唯一無二である。偏見からくる固定観念でばっさり決めつけたら、後々絶対に後悔しそうだ。よくよく考えると、2年弱の納期もウルスの乗り換えには丁度いい。ダメ元で恐る恐るディーラーに電話することにした。