徳永英明コンサート
母は50手前で、父は60歳で亡くなった。人生100年とも言われる現在の感覚からすると、僕の両親は早逝である。その両親から色濃い癌遺伝子を引き継いだ僕も長く生きられないように思っている。父が亡くなった年齢まであと数年、悔いのない人生を送れるよう思い浮かんだことは即行動に移すように努めている昨今。その一つがコンサートへの参加。チケットぴあ、最近ではローソンチケットからもコンサートの案内が届くようになった。関西で週末開催、かつてCDを購入したことのあるミュージシャンという枠組みで、幅広くコンサートにエントリーしている。仕事も子育ても一段落した同世代の考えることは同じようで、当選確率は50%程度。何度か落選した徳永英明のコンサートに3度目の正直で当選し、4月13日土曜日行ってきた。
場所はフェニーチェ堺。関西で音楽の殿堂と言えば大阪フェスティバルホール。なぜに堺?そう言えば、落選続きの薬師丸ひろ子のコンサートもフェニーチェ堺だった。田辺市からはフェニーチェの方が30分程早く着ける。とは言っても、世界最高峰のホールで聞けるなら30分差なんて屁みたいなものと思っていたが、2019年にグランドオープンした別名堺市民芸術文化ホールは、3階席まであるキャパ数2千の音響に相当こだわった重厚な大ホールで、フェスティバルホールと遜色ない印象。開場15分前に到着してホール前で待っていたら、工務店の担当者にばったり遭遇。我々よりやや上の世代の方で、我々夫婦同様、意識的にコンサートに参加しているとのこと。参加方法がある意味大人買いで、コンサート情報が入れば真っ先にファンクラブに入会して、良い席を狙うようにしているそうだ。先行予約とは言え我々は2階左袖席、彼らは1階7、8列目の中央席。「良いなぁ。」と思いつつ、「周囲のファンの同調圧力もすごいだろうなぁ。」とも案じた。
徳永さんのコンサートに足を運んでみようと気になったのは、「壊れかけのRadio」「レイニーブルー」「最後の言い訳」等オリジナルの名曲が多数ある一方、カバー曲も秀逸な点。カバー曲と言うとどうしてもオリジナル曲との対比で、違和感を覚えることが多々あるけれども、玉置(浩二)さんしかりマッキー(槇原敬之)しかり、ソングライターとしてボーカリストとしても秀でたミュージシャンがカバーすると、オリジナルを超えることがある。今回もテレサ・テン「時の流れに身をまかせ」、山口百恵「さよならの向こう側」「いい日旅立ち」、異色どころでは淡谷のり子「別れのブルース」など、聴き応えのあるカバー曲も多数堪能できた。アーモンドグリコのキャッチコピーではないが「ひと粒で二度美味しい」、ファンではなくても十分楽しめたコンサートだった。少しハスキーで甘いボーカルは聞く価値あり。強いて言えば、MCが得意ではないことは理解できた。
コロナ禍から約3年、ようやくコロナ前に戻りつつあることを実感している今日この頃。残された人生楽しまなきゃ、この後もサカナクション、佐野元春、槇原敬之、今井美樹、来年にはドリカムも待ち構えている。可能な限り、まだまだエントリーしていこうとコンサート情報をチェックする日々である。