院長のコラム

我が心の浜田省吾

2016.10.23

三十年振りのコンサート 

十月二十二日は忘れられない一日になった。
初夏の頃、友人である不動産会社専務から「◯月△日、空けといてよ。大阪の浜省のコンサートチケット取れたで。」と告げられた。「ほんま?ありがとう。」と返答はしたものの内心不安であった。記憶が定かでないが、確か大学時代の岡山市民会館以来なら三十年ぶりの浜省のコンサートである。

浜田省吾、僕の青い魂に火を付けた偉大なソングライターの一人である。悶々としてやるせなさを感じていた十代、僕のウオークマンには浜省のカセットがいつも入っていた。何度慰められ、勇気づけられ、励まされたことか。圧巻は、母が亡くなった時であった。絶望的な悲しみを紛らわすため車を走らせた。夜明け前の寒い時間だった。カーデッキに入っていたのはアルバム「J.BOY」、空が白ずんで太陽のまばゆい輝きに満ち溢れてきた時、流れてきたのがタイトル曲「J.BOY」だった。涙が止まらなかった。

J.BOY 打ち砕け 日常ってやつを
J.BOY 乗り越えろ もう悲しみってやつを
J.BOY 受け止めろ 孤独ってやつを
J.BOY 吹きとばせ その空虚ってやつを
理由は良く分からない。熱が冷めたのか、社会人になって忙しくなったからだろうか、いつの頃からか浜田省吾から遠ざかって行った。
地元に帰ってきた三十半ば頃から、「浜省ええで、コンサートメッチャいいで。」という声を周りの人間から聞くようになった。四十歳を過ぎた頃には「ファンクラブに入らなチケット取れんで。」、ここ最近は「ファンクラブに入っててもチケット取れへん。」という状況を伝え聞いていた。しかし、彼の長いキャリアの一時期しか知らない自分にとっては他人事に過ぎなかった。むしろ、年老いてますます熱くなっていく同世代の気持ちが理解できなかった。
斜に構えたような考えが2013年7月に一変した。NHK BSプレミアムで放送された浜田省吾ライブスペシャル「僕と彼女と週末に」を見た。心が震えた、熱くなった、そして恋い焦がれた。以降、専務と二人カラオケをする度、「チケット取って。」「今度、絶対二人で行こな!」、おねだりするホステスのようになってしまっていた。

二十二日のコンサートは、場所が大阪城ホールで五時会場六時開演だった。大阪まで車で二時間、僕なら二時半出発といくところなのだが、今回は、専務と奥さん、奥さんの友人に僕を加えた四人行動である。それぞれの思惑があり、十一時過ぎに出発することになった。案の定、一時過ぎに天王寺に到着して男二人路頭に迷いそうになったが、近くに映画館があり今話題の「君の名は。」がちょうど上映される時間帯だった。五十前後の男二人が並んで「君の名は。」を見ている光景は想像を絶するものだが、時間を潰すためには致し方ない。
映画は、噂通り良かった。「このあとコンサートへ行くけど、コンサートより映画のほうが良かったらどうする?」互いに笑い合いながら大阪城公園に向かった。(つづく)

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